間口と奥行は土地の利用効率に影響大
土地を利用する場合、間口・奥行の距離やこれらの相互関係はその土地の利用効率に大きな影響を与えます。
一般に間口は広いほど利用効率は高くなり、奥行は間口とのバランスがよいほど利用効率が高いとされ、評価の場面では、価格の形成要因として加味されることになります。
これらの要因については、鑑定評価では、地域の「標準的な宅地」と比較して個別に判断するようですが、相続税の評価(財産評価基本通達)の路線価評価では、課税の公平の見地から、国税が定めた「奥行価格補正率」「間口狭小補正率」「奥行長大補正率」の表に基づき、画一的にこれらの評価の補正率を適用することとしています。
現行の画地調整はH3改正通達から
現行のような画地補正の考え方となったのは、H3の財産評価基本通達改正からです。
それ以前は「奥行価格補正」ではなく「奥行価格逓減」という用語を使っていました。
当時は地価税導入を契機に地価を適正に評価しようという機運が高まり、鑑定のプロである(財)不動産研究所に各補正率を計算してもらったようです(この補正率はバブル当時の土地の価格形成を基礎としていたため、H18.10に見直しが図られています)。
補正率『1.0』の意味
路線価自体は『標準的な宅地』に付されたものです。
従って、ある宅地を評価する場合に『標準的な宅地』から外れた部分があれば、その部分を画地調整により加減するというのが、路線価による評価のイメージです。
つまり、各補正率「1.0」のものは「標準的」であるという建前なのです。
例えば、普通住宅地区の各補正率の「1.0」の下限を取ると、次のようになります。
奥行価格補正率1.0 10m~24m
間口狭小補正率1.0 8m以上
奥行長大補正率1.0 奥行距離/間口距離<2
これによれば、間口を8mとした場合に各補正率が「1.0」となるのは、奥行16m未満として128㎡ぐらいの四角い土地―これが国税の考える普通住宅の「標準的」ということなのでしょう。
H18通達改正直前の「土地・住宅統計調査」によると、1戸建の1件当たりの延床面積は126.4㎡(H17)ですので、建ぺい率50%、容積率200%で二階建を建築すれば、この土地に当時の平均的な一戸建の住居を建てることができます。
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