輸出入取引を行なう事業者にとって、貿易条件に関する知識は欠かせません。
この貿易条件に関して、国際取引慣習として普遍的に使用されている標準的取引条件の解釈に関する規則があります。
これが、インターナショナル、コマーシャル、タームズで、略して「インコタームズ」と呼ばれています。
(1)インコタームズの役割
その内容は、売主と買主の間の売買契約における物品引渡しの場所、売主から買主への危険移転の時点、運送の手配と運賃の支払、保険の手配と保険料の支払、通関手続きと関税の支払、費用分担に関する基本条件を「売主の義務」と「買主の義務」に分けて定めています。
(2)主要な取引条件
インコタームズには、13の条件の定めがありますが、通常、「FOB」、「DFR」、「CIF」の3条件を熟知しておけば足りると言われています。
これらいずれの条件も、輸出者の貨物に対する危険負担は、輸出地の港で船舶に貨物を積み込むまで(空港内の施設に搬入)です。
(3)消費税の輸出免税との関係
したがって、これら3条件のもとでは、消費税法でいう資産の譲渡は「国内において行なわれた」といえますので、当然ですが、一定の書類を具備すれれば「輸出免税」の適用(消費税の免除)を受けることができます。
しかし、上記3条件以外の貿易条件、例えば、船が輸入国に到着し、関税を払って、さらに物品を輸入国の工場まで運んだ段階で危険負担の責任が買主に移転するケース(この貿易条件をDDPと言う)では、消費税法上で言う資産の譲渡は「国外」ということになり、輸出免税の適用が受けられないことになります。
(4)消費税法の特例規定
貿易条件によって、輸出免税の適用が受けられないようでは、貿易は機能しません。
そこで、消費税法では、輸出等で国外取引に該当するものについては、輸出として証明されたものにつき「課税資産の譲渡等の対価に係る輸出取引等」に該当するものとみなして輸出免税の適用を認めています。
但し、これは、仕入税額控除の規定の特例ですので、納税義務等の有無を判定する基準期間における課税売上には算入されません。
1.インコタームズの概要
インコタームズ(Incoterms) は、International Commercial Terms の前の二つの単語のはじめの二字、すなわち ‘In’ と ‘Co’ とを Termsに冠して略称としたもので、正式の名称は、「取引条件の解釈に関する国際規則(International Rules for the Interpretation of Trade Terms)」といいます。
詳しくは 日本ジェトロのHPで。
http://www.jetro.go.jp/world/japan/qa/import_09/04C-070304
2.消費税法
(非課税資産の輸出等を行った場合の仕入れに係る消費税額の控除の特例)
第31条 事業者が国内において第6条第1項の規定により消費税を課さないこととされる資産の譲渡等(以下この項において「非課税資産の譲渡等」という。)のうち第7条第1項各号に掲げる資産の譲渡等(以下この項及び次項において「輸出取引等」という。)に該当するものを行った場合において、当該非課税資産の譲渡等が輸出取引等に該当するものであることにつき、財務省令で定めるところにより証明がされたときは、当該非課税資産の譲渡等のうち当該証明がされたものは、課税資産の譲渡等に係る輸出取引等に該当するものとみなして、前条の規定を適用する。
2 事業者が、国内以外の地域における資産の譲渡等又は自己の使用のため、資産を輸出した場合において、当該資産が輸出されたことにつき財務省令で定めるところにより証明がされたときは、当該資産の輸出のうち当該証明がされたものは、課税資産の譲渡等に係る輸出取引等に該当するものとみなして、前条の規定を適用する。
3 前二項の場合における前条第2項に規定する課税売上割合の計算の方法その他同条の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。
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