税務調査をする理由は?
税理士会からの税務行政への要望のトップクラスにいつも税務調査理由の開示要求があります。
税務調査については各税法に「必要があるときは・・・できる」との規定になっているので、調査の必要性を判定した理由を求めてもよいように思われるからです。
税務署のいつもの言い方は
税務署の指導マニュアルでは次のよう対応するよう指導しています。
「調査理由は、『所得金額の確認』です。
税務調査は、『申告が正しいかどうか、正しい所得金額はいくらであるか』を確認するために行うものであり、『申告に誤りがあるか、どこが間違っているか』は調査の結果明らかになるものと考えています。
『申告のどこに誤りがあるか分かっていなければ調査ができない』ということはありません。
仮に、調査の必要性の理由(選定理由)をお尋ねだとすれば、その判断は税務官庁の裁量に委ねられているものであり、選定理由を開示しなければ質問検査権を行使できないというものではありません。」
裁判所はどう解釈しているか
判決には、理由不開示が調査拒否の正当な理由となるとするものも多数あります。
なお、最高裁は「質問検査の必要があり、かつ、これと相手方の私的利益との衡量において社会通念上相当な限度にとどまるかぎり、権限ある税務職員の合理的な選択に委ねられている」との判断をしています。
立法趣旨を確認すると
第72国会衆議院本会議の満場一致決議(昭和49年6月3日)として「税法行政の改善については、税務調査に当り、事前に納税者に通知するとともに、調査は理由を開示すること」と言っています。
調査の必要性の理由(選定理由)?
先述の指導マニュアルでは、「納税者側の態度によっては選定理由を開示した方がよい」とも言っており、
例えば、
「長期間、調査にお伺いしていないため」
「同規模の同業者と比較して申告所得金額が少ないと思われるため」
「高額な資産を取得されており、その資金の出所等と関連して申告額が正しいかどうかを確認するため」
等としています。
調査の申し入れがある時には、期待しないまでも、一応は調査理由を確認することを習慣にすべきなのかもしれません。

当法人は当業務日誌で発信した情報について正確な情報をお伝えするように努力をしますが、誤り・正確さ・取引の正当性などについては、当法人およびその情報提供者は一切の責任を負いません。

記事を読まれた方又は第三者が当該業務日誌に記載されている情報などに基づいて被ったとされるいかなる損害についても、当法人およびその情報提供者は損害賠償その他一切の責任を負担致しません。

記事の内容についてのご質問はお問い合わせのページよりお願いいたします。

ご質問の内容によっては有料でのご対応、もしくはご返答いたしかねる場合がございますので、あらかじめご了承ください。