民主党による税制改正プランには、劣化してきた税の所得再分配機能を回復させるという意思が明白です。
明示されている過去廃止税制の復活及び現行税制の廃止制限それから新税制の各項目を摘出してみます。
過去廃止制限税制の復活
50万円の老年者控除の復活
公的年金等控除140万円の回復
現行税制廃止および制限項目
配偶者控除・配偶者特別控除
扶養控除
給与所得控除の上限設定
新制度創設
生活支援給付つき税額控除
就労支援給付つき税額控除
子ども手当の直接給付
格差深刻な年金世代への配慮復活
わが国の65歳以上の高齢者人口は、2822万人で総人口に占める割合は22.1%です。
65歳以上の高齢者のうち、無年金者約80 万人と老齢基礎年金のみの低年金者899万人とが占める割合は3分の1を超えています。
(男性が約239 万人<受給月額51,072 円>、女性約660 万人<受給月額44,560 円>)
老年者控除の復活、公的年金等控除140万円の回復は高齢者での貧富の格差の深刻化状況を改善することを企図した、中年金クラス以下への課税配慮政策と言えます。
所得控除から税額控除へ
所得控除は課税所得計算上差し引くのに対し、税額控除は算出税額から差し引きます。
従って、累進税率の下では所得控除は高所得者ほど有利な制度といわれています。
所得税と住民税あわせた最高税率が93%にもなった過去の時代ならいざ知らず、平成11年以後は50%と大分緩和されていますので「累進税からの救済はやめて、その分を所得再分配原資に充てよう」というのが趣旨です。
所得控除から手当へ
子育て中の全家庭に「子ども手当」を現金で支給するという子育て支援政策は、フランスなどの諸外国でも少子化対策として導入され、出生率の上昇に大きく貢献したと報じられたもので、再分配そのものです。
これを税制に組み込めば給付つき税額控除ということになります。
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