最高裁で勝ってしまった
共産党から自民党まで全ての市議会会派が市長を支持した裁判での敗訴が最高裁で最終的に確定しました。
勝ったのは一納税者です。負けたのは鎌倉市です。
この事件は、固定資産税評価額が過大だったことにより、相続税が過大納付になってしまったことに対し、市長に過大納付相続税分の損害賠償を請求したものです。
税務署の仇を市役所に討つ
発端は、相続税の申告の12年経過後に、土地の固定資産税評価額がどうみても高すぎるように思い、市役所に調査依頼をしたことです。
その結果、市役所は評価上の色々な補正割合の適用に原則的な誤りがあることを発見し、12年前からの評価額を洗い直し、固定資産評価審査委員会の決定に基づき12年前から過大納付であった固定資産税を返還しました。
調査依頼人は同時に、12年前の相続税の申告と納付についても、新しく修正された12年前の土地の固定資産税評価額に基づき、相続税評価額を計算し直し、1,956万円の相続税過大額につき、税務署に対し更正の請求をしました。
しかし、税務署は、更正可能期間が既に経過しているとして減額修正の請求に応じませんでした。
それで、市長に対して国家賠償法上の請求を提起したわけです。
当然にこれは係争となり、裁判にもちこまれました。
大岡裁きの連続
平18-05-17 横浜地裁 認容・鎌倉市控訴
平19-09-26 東京高裁 棄却・鎌倉市上告
平21-10-02 最高裁 上告棄却
地裁判決は、「市は守るべき規範である評価基準等に従って評価額を決定すべきにもかかわらず、職務上通常尽くすべき注意義務を怠り漫然とそれをしていたのだから、国家賠償法上の過失及び違法性が認められる」としました。
税務署が過納税金を返してくれないから市役所に腹いせの請求をした、という印象のある事件だったので、地裁での納税者勝訴の判決が出たときには、意外な大岡裁き判決と思われました。
ところが、高裁でも納税者が勝ち、最高裁でも勝ってしまいました。
鎌倉市の弁償額は相続税過大額に年5%の利息相当額約1,752万円を加えた計約3,708万円です。
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