平成21年度税制改正で創設された「取引相場のない株式に係る相続税の納税猶予制度」については、昨年度の税制改正でその骨格は概ね決まっていました。
そこで、今回の主な改正内容は
①猶予税額の免除要件の明確化
②猶予税額の具体的な計算
③他の特例との適用関係
④租税回避行為への対応
などでありますが、そのなかでも特に、この納税猶予制度を
⑤経営承継円滑法の施行日(平成20年10月1日)以後の相続等についても適用可能
とする措置を講じたことから、一定の要件を満たす相続については、相続税の申告期限を平成22年2月1日まで延長することにしています。
(1)期限延長できる一定の相続とは
平成20年10月1日から平成21年3月31日までの間に開始した相続に係る被相続人の遺産の中に非上場会社の株式等が含まれており、かつ、当該被相続人が当該非上場会社の代表者であった場合には、当該被相続人に係る相続税の申告書の提出期限を平成22年2月1日まで延長できるとする措置です。
相続対策(税も含めて)は、何と言っても生前対策が有効であり、この点からしても、相続税の納税猶予制度はあくまでも相続が発生した段階での猶予制度であるため、計画的な事業承継対策としては不十分とする意見もありました。
そこで、今回の改正では、「取引相場のない株式等に係る贈与税の納税猶予制度」も創設されました。
(2)贈与税の納税猶予制度とは
後継者が、経営承継円滑化法に基づく経産大臣の認定を受けた会社を経営していた親族から、贈与によりその保有株式等の全部(贈与前から既に後継者が保有していたものを含めて、発行済議決権株式等の総数等の3分の2に達するまので部分を上限とします。以下「猶予対象株式等」という。)を取得した場合には、猶予対象株式等の贈与に係る贈与税全額を猶予します。
また
①猶予税額の納付、免除等については、相続税の納税猶予と同様な取扱で
②贈与者の死亡時には、引続き保有する猶予対象株式等を相続により取得したものとみなし
贈与時の時価により他の相続財産と合算して相続税を計算し、納付しますが、その際、経産大臣の確認を受けた場合には、相続税の納税猶予を適用します。

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