現金残がマイナス
小規模同族会社で、社長の財布と会社の財布が曖昧な企業は、帳簿の作成も遅れがちです。
年度末が終わってから帳簿を整理したら結果として現金がマイナスだったり、ありもしない何百万という現金残があったりすることがあります。
慌てて社長からの借入や社長への貸付にしてその場を繕ってはいませんか?
青色申告の条件に仕訳帳・総勘定元帳等の帳簿を備え付け、取引を記録すること、そして、現金の出納に関しては、取引の年月日、事由、出納先及び金額並びに日々の残高を正しく記載すること、と言う一項目がありますので、現金勘定を使う以上は、マイナス残があったり、異常な過剰残があったりすることは、避けるべきです。
考え方としては間違っていませんが・・・
現金出納帳の残高がマイナスということは社長の財布から経費が払われているのですから、その部分は社長からの資金の借入れをしていると解釈することは間違っていません。
会社の金庫には金がないにもかかわらず、現金勘定残高が異常に多い場合は、会社の財布から社長への資金の流出があったと考えて社長への仮払いをしていると解釈する
ことは間違っていません。
しかし、現金勘定の残高にこだわって、借入れや貸付けの架空の仕訳をいれることはしてはいけません。
それではどうすればよいのでしょうか。
そこで決算前の大事な対策の一つに現金勘定の整理があります。
そうならない為には、毎日現金出納帳を付ければよいのですが、既に決算を前に、現金出納帳をつけていなかった企業は、1ヶ月前に決算のつもりで帳簿を整理してみてください、期中に現金の異常に気がつけば、まだ手があります。
現金がマイナスのときは預金から現金を引き出しプラスにしておくとか、過剰な時は社長が会社の預金に現金を預けるとかすることで社長との貸し借りを帳簿に残さずに済みます。
会社と社長との根拠のない金銭の貸し借りは、取引の裏付けを求められたとき窮します。現金残のマイナスは帳簿管理のずさんさを自白するようなものです。
(青色申告の承認申請の却下)
法人税法 第123条  税務署長は、前条第一項の申請書の提出があつた場合において、その申請書を提出した内国法人につき次の各号のいずれかに該当する事実があるときは、その申請を却下することができる。
1 前条第一項に規定する当該事業年度に係る帳簿書類の備付け、記録又は保存が第126条第1項(青色申告法人の帳簿書類)に規定する財務省令で定めるところに従って行われていないこと。
(青色申告法人の帳簿書類)
法人税法 第126条  第121条第1項(青色申告)の承認を受けている内国法人は、財務省令で定めるところにより、帳簿書類を備え付けてこれにその取引を記録し、かつ、当該帳簿書類を保存しなければならない。
2 納税地の所轄税務署長は、必要があると認めるときは、第121条第1項の承認を受けている内国法人に対し、前項に規定する帳簿書類について必要な指示をすることができる。
(青色申告の承認の取消し)
法人税法 第127条  第121条第1項(青色申告)の承認を受けた内国法人につき次の各号のいずれかに該当する事実がある場合には、納税地の所轄税務署長は、当該各号に定める事業年度までさかのぼって、その承認を取り消すことができる。この場合において、その取消しがあつたときは、当該事業年度開始の日以後その内国法人が提出したその承認に係る青色申告書(納付すべき義務が同日前に成立した法人税に係るものを除く。)は、青色申告書以外の申告書とみなす。
1 その事業年度に係る帳簿書類の備付け、記録又は保存が前条第一項に規定する財務省令で定めるところに従って行なわれていないこと。 当該事業年度
(取引に関する帳簿及び記載事項)
法人税法施行規則 第54条 青色申告法人は、すべての取引を借方及び貸方に仕訳する帳簿(次条において「仕訳帳」という。)、すべての取引を勘定科目の種類別に分類して整理計算する帳簿(次条において「総勘定元帳」という。)その他必要な帳簿を備え、別表21に定めるところにより、取引に関する事項を記載しなければならない。
(仕訳帳及び総勘定元帳の記載方法)
法人税法施行規則 第54条 青色申告法人は、仕訳帳には、取引の発生順に、取引の年月日、内容、勘定科目及び金額を記載しなければならない。
2  青色申告法人は、総勘定元帳には、その勘定ごとに記載の年月日、相手方勘定科目及び金額を記載しなければならない。
法人税法施行規則 別表20 青色申告書の提出の承認を受けようとする法人の帳簿の記載事項
(1) 現金の出納に関する事項
取引の年月日、事由、出納先及び金額並びに日々の残高

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