専門用語とのギャップ
どの業界にもあるでしょうが、法律上の専門用語と一般用語にギャップがある例がしばしば見うけられます。
ここでは、刑事手続に焦点を当てて、いくつかご紹介します。
容疑者と被疑者
まず、一般に言われる「容疑者」とは、法律上は「被疑者」といいます。
つまり、両者は同じです。
「容疑」を認めるとは、法律上は「被疑」事実を認めることをいいます。
また、最終的な刑事処分が決まっていない被疑者または被告人が拘束を受けることを、一般的には拘置といいますが、法律上は勾留といいます。
これは、常用漢字に「勾」の字が入っていなかった頃の名残かも知れません。しかし、このような言い換えが、今やどこまで意味があるのかという疑問も湧きそうです。
刑事も民事も訴えられれば「被告」
刑事裁判にかかった人は、一般的に「被告」と呼ばれますが、法律上は「被告人」が正しいです。
民事裁判でも相手方として提訴された人は法律上も一般的にも被告と言います。
私人も逮捕が出来る?
よりややこしいのは「現行犯逮捕」という概念です。
「現行犯逮捕」自体は、捜査機関だけでなく、私人もできる権限を持っています。
ですから、私人が現行犯人を取り押さえれば、それ自体「現行犯逮捕」なのです。
しかし、報道にかかると、私人の逮捕が「取り押さえ」になり、その後に警察官が受ける身柄の「引き渡し」が「現行犯逮捕」と表現されてしまいます。
私人も現行犯人を逮捕できる権限があることが分かっていれば、「見て見ぬふり」の減少に、少しは役に立つかも知れません。
裁判員制度の現在では
これらの言い換えや語法のずれは、昔は分かり易さを目指す意味でそれなりの意義があったかもしれません。
しかし、現在は、裁判員制度の導入により、国民が司法に向き合うきっかけが制度として組み込まれております。

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