現在は相続全体の4.2%の人しか相続税を払ってない状況とされています。
この要因のひとつとして小規模な宅地等について評価減の特例がありますが、平成22年4月の税制改正でこの小規模宅地等の評価減の特例について大きな改正がありました。
小規模宅地等の特例とは
相続人等が、亡くなった方(以下、被相続人と言います。)が住んでいたり、事業のために利用していたりした小規模な土地などを、相続や遺贈によって取得した場合には、その土地の評価額の一定割合を減額することができます。
取得者の要件
小規模宅地等の特例のうち、例えば、被相続人が自宅として住んでいた宅地等(特定居住用宅地)については、240㎡までその評価額が8割減額されます。しかし、この土地について配偶者以外の方が取得する場合には、取得者に一定の要件があります。
①相続開始直前に同居していた親族で、申告期限まで所有・居住していること。
②被相続人と生計を一にしていた親族で、申告期限まで所有・居住していること。
③被相続人に配偶者も同居親族もいない場合で、相続開始前3年以内に持ち家に居住したことがない親族が、申告期限まで所有していること。
このうち③の要件に該当する方を税務上の通称で「家なき子」と呼んでいます。
例えば、被相続人が配偶者に先立たれ一人暮らしをしていた場合で、その子供が独立して賃貸住宅(分譲住宅ではなく)などに住んでいる場合が該当します。
平成22年の改正で
改正前は宅地等を取得した人のなかに、配偶者か①~③の要件を満たす人が含まれていれば要件を満たしていない他の相続人も恩恵を被る事ができました。
例えば、「子供たちはそれぞれ独立していてお母さん一人が自宅に残された場合、子供たちは自宅の土地を取得しても減額が受けられませんが、お母さんにも自宅の持分を100分の1だけ取得させることにより、子供たちが取得する100分の99についても減額できる。」というような適用のしかたもできました。
しかし、これでは本来の趣旨とは違っています。
今回の改正では本来の趣旨に近づけ、その家に住んでいる配偶者、家族、持家のない「家なき子」にやさしい法律になりました。
この改正は、支払う税金に直接関わってきますので、今後、誰が土地を取得するのかなどの分割協議に影響を与えるのではないかといわれています。

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