1990年代に日本経済の長期停滞から脱却するために、わが国の企業は様々な改革に取り組み、その中で人事制度も「賃金は年功・能力や働いた時間の長さに対してではなく、成果に対して支払うべきだ。」とする趣旨から、仕事の成果を評価の中心に据えて賃金を決める“成果主義”が多くの企業に導入されました。
しかし、2000年以降は“成果主義”に対する批判、修正の動きが主流になっています。
それはなぜでしょうか。
“成果主義”の功罪
“成果主義”のメリットは「社員のやる気を引き出すインセンティブになる。集中して取り組むべき目標が明確化される。」等のメリットがある半面、次のように多くのデメリットが生じました。
①外部環境変化の影響、チーム協力成果などから見て評価の公正性が保てない。
②社員が自分の評価を高めるために恣意的に目標を低めにしたり、短期の達成し易い目標設定をし、会社として高い価値を生み出す困難で挑戦的な目標、本当に取り組んで欲しい課題解決やそのための人事異動を避けるようになる。
③設定した目標以外の仕事を軽視するようになる。
④次期の目標達成度を上げるために、当期の実績を低めにコントロールする。
⑤自分さえ高い評価を受けられれば良いとする個人主義が横行し、組織としての知の共有・協同作業などのチームワークや全体最適への努力が低下する。
⑥目標達成の結果が重視されるため、プロセスを軽視するようになり、長期的な人材育成・能力開発の障害になる。
このような“成果主義”のデメリットは、当初意図した「社員のやる気を引き出すメリット」を失わせ、若年層の保守・安定志向、チャレンジする組織風土の崩壊、企業にとって“悪しき暗黙知”の形成につながってしまったと言えるでしょう。
“成果主義”是正の動き
2000年以降、多くの企業は“成果主義”の実践体験から学び、成果と同時にプロセスでの発揮能力、チャレンジする目標への取り組み、チームとしての成果、管理者の部下育成努力の評価をより重視するなどの改善に取り組んでいます。

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