都道府県別に定められている地域最低賃金が、東京都の場合10月24日から改定され、1年間適用されます。
最低賃金は約50年の歴史があり、はじめは昭和34年頃、静岡県の缶詰工業会が働き手を集めるために業界団体で最低賃金を協定したのが始まりといわれています。
現在では「最低賃金法」として法制化され、約5,000万人が適用されている「地域別最低賃金」と、約380万人が適用されている「特定(産業別)最低賃金」があります。
ここではセーフティーネット機能を持ち、パート・アルバイトを含めて全ての労働者に適用され、中小零細企業にとっても影響が大きい「地域別最低賃金」(以下最賃)について解説します。
平成19年からの急速な最賃上昇
最賃額は全国加重平均で、2009年度は710円(時間額)でしたが、2008年6月の「成長力底上げ戦略推進円卓会議」政労使3者合意があり、「中小企業底上げ戦略」の一つして、中小企業の生産性向上と最低賃金の中長期的引き上げが合意されました。
その中で「生活保護基準」より「最賃」の方が低い逆転現象が問題として浮上し、その是正が改正最賃法に盛り込まれました。
その結果、東京都の場合で見ると、平成5年に620円、毎年の改定で平成18年の719円まで、13年間で約100円の上昇でしたが、その後2010年までの4年間で約100円と急速な上昇で821円になりました。
生活保護基準との逆転現象は2009年度で47都道府県中、東京・神奈川など12ありましたが、是正されつつあると言えます。
これからが大変な最賃
民主党の2009年度衆院選マニュフェストは、
・最低賃金の原則を「労働者とその家族を支える生計費」とする。
・全ての労働者に適用される「全国最低賃金」を設定(800円を想定)する。
・景気状況に配慮しつつ、最低賃金の全国平均1,000円を目指す。
・中小企業における円滑な実施を図るための財政上、金融上の措置を実施する。
としておりますが、厚生労働省の公労使委員会も合意形成が困難になりつつあり、景気回復の動向や中小企業の生産性との整合性などこれから目が離せない大変な状況が続きそうです。
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