従業員規模1000名以上の企業の約半数が導入している「役職定年制」とは、管理職の役職を一定年齢で外す制度ですが、中堅・中小企業で導入する場合はいくつかの注意点があります。
「役職定年制」の目的、形態
管理職が定年まで、その職位に止まることで後輩社員の管理職登用が遅れ、その労働意欲が低下したり、働き盛りに管理職として活躍してもらう機会を奪うなど、全体として管理職層のマネジメント能力が低下する企業の人材活用戦略の問題を回避することを目的として導入するのが一般的で、その形態は次の通りです。
①部長・課長などの職位別に役職定年を区別して設定し(例えば部長58歳、課長56歳)、ライン長から外す。
②または、管理職は全て一定年齢(例えば60歳)を役職定年とする。
③上記①②とも、理事など役員に準ずる処遇を受けている場合は役職定年を適用せず、ライン長に止まる。
④役職定年を適用された者は、専門職、または一般職として業務に従事する。
「役職定年制」導入の留意点
この制度を導入した場合、次のような対策が必要です。
①対象者への事前の目的説明を丁寧に行なうとともに、交代後には、その能力・経験を生かした業務遂行と後進の人材育成面に期待する会社の意図を伝える。
② 前項の裏付けとして、社内等級で管理職に並び、かつ管理職の指揮下で専門的業務に従事する「複線型専門職制度・専任職制度」を設定して処遇し、業績・能力発揮の査定と報酬への反映を行う。
経営者の留意点
中堅・中小企業で「役職定年制度」を導入する場合は、目的を達成できるよう、次の点に留意したいものです。
1.事業推進の中核として、マネジメントを行なう人材を確保し、経営戦略の実現力を確保するため、自社における現状と将来のマネジメント人材確保状況を的確に洞察、判断して、管理職層の弱体化に陥らないよう「役職定年制」の導入を決断する。
2.後進の管理職登用は、業績に裏付けられた実力の評価に基づいて行い「役職交代制度」のメリットを事実で証明する。

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