事実上、役員に賞与は無い
役員に賞与を支払う場合には、税務署に事前に賞与の日と支給額の届出を出しておく必要があります。
そして、この届出と違うタイミングで役員に賞与を支給した場合には、経理上では賞与として処理としたとしても、その賞与は法人税の計算過程で否認され、賞与の支払いは無かったものとして、法人税が計算されます。
したがって法人は、役員に賞与を払ってキャッシュが減っている中で、賞与を否認され、高くなった法人税の負担をすることになってしまいます。
そのため、実務上、役員には賞与を支給せず、賞与を見込んだ1年間の給与を見積もり、毎月定額で支払う方法が一般的です。
この定期同額給与の場合には税務署に届出を出す必要はありません。
税務調査で賞与とされてしまう
税務調査などで、会社の帳簿上の現金の残高が実際よりも多かったり、法人から社長がお金を引き出し、個人的な目的のために使っていた場合などは、帳簿現金と実際現金との差額や、社長が個人的に引き出した金額が、社長の賞与として認定されてしまうことがあります。
この場合の賞与も、経理上はいったん経費に算入され、利益が減少しますが、法人税の計算では、経費に入れることが認められませんので、法人税の負担が増えます。
さらに、認定された賞与を法人税の計算で否認されたとしても、社長の個人収入としては会社から金銭を引き出していることは事実なので、その賞与に対する所得税の納税はかかってきます。
役員賞与は「会社の経費にもならず、所得税も増える」と言うまさに悪循環です。
役員賞与にしないためには
このように役員への金銭の支払いを賞与とすると、所得税、法人税それぞれが増加してしまいますので、社長が会社から個人的な引き出しをする場合には、役員貸付として処理するのが一般的です。
ただし、自分の会社からの引き出しとはいえ、貸付には違いありませんので、当然利息を認識し、法人は役員貸付金の利息を雑収入として収入に計上します。
また、返済も必要ですので、平年よりも高めに役員報酬を設定し、その一部を返済に回したり、個人資産から法人へ返済しなければなりません。

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