役員報酬の改定は年に1 回だけにしましょう。
法人税の規定では、役員報酬を定期同額で支払わない場合にはペナルティが与えられます。
例えば、3 月決算の会社の場合は役員報酬の改定は決算月の翌月4月から7 月末の支払いまでです。
この時期に決定して毎月定額を支払う取り決めをしなければなりません。
以下、期の途中で役員報酬を増額した場合と減額した場合の影響を簡単にご説明します。
1.期の途中で増額した場合
例 役員報酬を月額100 もらっていたが半年後に月額を倍の200 にした場合
役員の年収は100×6 ヶ月+200×6 ヶ月で1800 になります。
しかし定期同額給与に違反していますので、法人税の申告書上で、役員報酬のうち増額した200 と増額前の100 との差額である100×半年分の600 が法人の経費から除かれてしまいます。
したがって法人の経費になる役員報酬は1800 のうち1200 だけとなります。
法人の経費から除かれたといっても、役員がもらった報酬の額は1800 のままですので、所得税と住民税は1800 を基準に計算されます。
2.期の途中で減額した場合
例 役員報酬を月額300 もらっていたが10 ヶ月後に月額を半額の150 にした場合役員の年収は300×9 ヶ月+150×3 ヶ月で3150 となります。
この場合も定期同額給与に違反していますので、法人税の申告書上で、役員報酬のうち減額前の300 と減額後の150 との差額150×9 ヶ月分の1350 が法人の経費から除かれます。
したがって法人の経費になる役員報酬は1800 です。
また、法人の経費から除かれたといっても、役員がもらった報酬の額は3150 のままですので、所得税と住民税は3150 を基準に計算されます。
結果として、増額した場合・減額した場合、どちらでも法人にとってみれば、「経費にならない無駄な支出」をしたことになってしまいます。
役員報酬の設定については、期の途中で簡単に上げ下げできないため、将来の予測も含めて非常に難しい判断を迫られます。
決算期が近づいているお客様につきましては、役員報酬の仕組みと注意点についてご説明させていただきますので、翌期の役員報酬の設定について、よく相談してから決定するようにお願い申し上げます。
記事を読まれた方又は第三者が当該業務日誌に記載されている情報などに基づいて被ったとされるいかなる損害についても、当法人およびその情報提供者は損害賠償その他一切の責任を負担致しません。
記事の内容についてのご質問はお問い合わせのページよりお願いいたします。
ご質問の内容によっては有料でのご対応、もしくはご返答いたしかねる場合がございますので、あらかじめご了承ください。