平成23年度の税制改正における法人課税は、「課税ベースの拡大」と「法人実効税率の引下げ」といった増減税の抱合せが特徴です。何か「帳尻合わせ」で、中途半端の感は歪めません。以下、主な改正項目を確認していきます。
法人実効税率の引下げ
法人税率を現行の30%から25.5%に引下げ、実効税率を5.05%(国税4.18%、法人住民税分0.87%(東京都))引下げています。
また、中小法人の年所得金額800万円以下の部分の軽減税率は、引下げ措置が延長され現行18%から15%に、基本税率も22%から19%に引下げられます。
適用は、法人の平成23年4月1日以後に開始する事業年度からです。
減価償却費の縮減
定率法の償却率を250%から200%に改正、改定償却率及び保証率についても所要の整備を行うとしています(所得税も同様)。
  
適用は、平成23年4月1日以後に取得する資産からです。
なお、実務上の便宜に配慮し、現行の償却率で定率法にて償却できるなどの経過措置が講じられています。
繰越欠損金の使用制限
改正案では、繰越欠損金の控除限度額を80%に制限しています。
なお、中小法人等あっては、現行の控除限度額100%を存置しています。
なお、これに伴い
①繰越欠損金の繰越期間を現行7年から9年に延長(平成20年4月1日以後に終了した事業年度において生じた欠損金額に適用)
②法人税の欠損金額にかかる更正の期間制限を現行7年から9年、請求期間を9年に、また、9年間の記帳保全を期間延長の要件としています。
適用は、平成23年4月1日以後に開始する事業年度から、また、上記②は平成23年4月1日以後に法定申告期限が到来する法人税からです。
貸倒引当金の縮減
貸倒引当金は、銀行、保険会社その他これらに類する法人及び中小法人等に限定するとし、これ以外の法人については、4年間の激変緩和措置を設けて、現行の損金算入限度額に対する引当を1/4ずつ縮小するとしています。
その他
①雇用促進税制の創設
②仮決算による中間申告の見直し
③一般寄付金の損金算入限度額の縮減
などがあります。

当法人は当業務日誌で発信した情報について正確な情報をお伝えするように努力をしますが、誤り・正確さ・取引の正当性などについては、当法人およびその情報提供者は一切の責任を負いません。

記事を読まれた方又は第三者が当該業務日誌に記載されている情報などに基づいて被ったとされるいかなる損害についても、当法人およびその情報提供者は損害賠償その他一切の責任を負担致しません。

記事の内容についてのご質問はお問い合わせのページよりお願いいたします。

ご質問の内容によっては有料でのご対応、もしくはご返答いたしかねる場合がございますので、あらかじめご了承ください。