猫の目のように変わる昨今の証券税制ですが、整理しますと次のようになります。
1)平成20年度税制改正により、平成21年以降の所得について確定申告で申告分離課税を選択することにより、上場株式等の譲渡損失と、上場株式等の配当金及び株式投資信託の分配金との損益通算が可能。
2)平成22年以降は、特定口座の「源泉徴収あり口座」にて受入れた上場株式等の配当金及び株式投資信託の分配金と特定口座内の譲渡損失との損益通算が可能。
3)上場株式等の売却益に係る税率は、平成21年~23年までは10%(所得税7%、住民税3%)、平成24年以降は20%(所得税15%、住民税5%)。
取得費が不明な場合の特例措置
上場株式等の売却益については、平成15年(2003年)の税制改正で、現在の「申告分離課税」に1本化されました。
しかし、譲渡損益を計算する際には、その株式の取得費の把握が必要になりますが、当時まだ大量にあったタンス株などは相続等で取得したものや古い時代に購入したもので大部分を占めており、その取得費を調べることは事実上不可能でした。
そこで、取得費が不明な場合には、平成13年(2001年)10月1日の終値に80%を掛けた額を「みなし取得費」として申告ができるようにしたのが、みなし取得費の特例です。
この「みなし取得費の特例」計算が今年の12月31日で期限切れ廃止となります。
取得費の特例が適用される株式
取得費の特例が適用さる株式は、平成13年(2001年)9月30日以前(2001年9月末までに購入した株式をそれ以後相続で取得した株式も含む)に取得した上場株式で、現在でも、相続した株式や昔に購入した株式をそのまま一般口座に保管されているもの、あるいは、株券電子化の際に必要な手続きをしないで信託銀行の特別口座に名義が移ったものも対象になります。
取得費が不明あるいは実際の取得費よりみなし取得費の方が高い株式を保有している人は、年内に「取得費の特例」を使うことで節税が期待できます。
特例が切れる来年以降、取得費不明な株式を売却した時の取得費は、「売却代金の5%」で計算することになっていますので、今年と比較して節税効果が大きく異なります。

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