税制改正速報の最後は、国際課税です。
改正の主要な部分は、タックス・ヘイブン税制です。
この税制は、軽課税国等(所得課税がない、あっても、税率25%以下の国又は地域)にある名目だけの外国子会社を利用して、租税回避を行うことを防止する目的で創設された制度です。
具体的には、その外国子会社の所得に相当する金額(持分相当額)を日本の親会社の所得とみなして、日本で課税します(正確には、内国法人に係る特定外国子会社等の課税対象金額の益金算入)。
但し、実体のある事業を行っている等、一定の条件(適用除外基準)を満たす場合には、課税の対象とはなりません。
今回の改正は、アジア地域の国々(中国、韓国他)が法人税率を25%以下に引下げたことに伴い、現行法のままでは、これらの国々が同制度の対象となり、「海外進出の障害になる」との声が産業界から上がったことが発端だと言われています。
(1)軽課税国の基準税率の引下げ
特定外国子会社等に該当するか否を判定するための基準税率を25%から20%に引下げました。
この基準税率の引下げにより、外国子会社の3割強が申告不要になり、税務負担を大幅に軽減できるとのことです。
(2)納税義務者要件の緩和
現行法では、内国法人単独又はグループで直接・間接に5%以上を保有している場合に納税義務を負いますが、改正では、この保有株式要件を、10%に引上げました。平成4年前の水準に戻ったことになります。
(3)適用除外基準の見直し
 特定外国子会社等に該当しても、いわゆる、適用除外基準を満たせば、適用除外となり、合算課税の適用を受けません。
改正では、この基準を経済の実態に即して緩和され、実体ある事業持株会社、物流統括会社が対象外になりました。
これにより、日本企業による更なる海外市場の開拓、その果実の活用に弾みがつくとのことです。
(4)資産性所得の租税回避への対応
現行法では、適用除外基準を満たせば、合算課税の適用は受けません。
しかし、利子、配当、株式譲渡益、ロイヤリティなどの資産性所得は、容易に、海外子会社に付替えることができるため、適用除外基準を満たす子会社でも、一定の資産性所得については、合算の対象とされました(改正案は平成22年10月1日から適用です)。
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