小規模企業共済制度は、個人事業主や小規模な会社等の役員が事業をやめたり退職等をした場合に、生活の安定や事業の再建を図る資金をあらかじめ準備しておくもので、いわば経営者の退職金制度です。
この共済制度は、昭和40年から存続する制度で、掛金の全額を所得控除の対象となり、もっともオーソドックスな節税商品とし多くの事業主の方に利用されています。                
    
一時金を受け取る場合
共済契約者(掛金を負担した人)が亡くなり、遺族が共済金を一時金で受け取る場合、その課税関係はどうなるでしょうか。
所得税は全額非課税です。
一方、相続税法では、共済金は死亡退職金として取り扱われ、みなし相続財産として相続税の課税対象となりますが、500万円×法定相続人の金額まで非課税となります。
掛金を承継した場合
なお、一時金の請求に代えて、相続人が共済契約者である被相続人の事業を相続し、契約者の掛金及び納付月数の承継通算をすることもできます。
この場合の課税関係はどうなるか、ですが、明確な取扱いはありませんでした。この点について、過日、東京国税局より文書回答が公表されました。
それによると、一時金に関する権利(共済金を請求する権利「受給権」)は、
①みなし相続財産として相続税の課税対象になる。
②当該受給権は、相続税法に規定する退職手当金等に含まれる。
③一定金額(500万円×法定相続人の数)は相続税の課税価格に算入されず非課税財産となる。
④当該受給権の評価は、相続開始時に本件一時金の支給を請求した場合に受け取ることができる額である。
というもので、一時金の支給と同様な取扱内容となっています。
共済金の受け取り順位
共済契約者が亡くなった場合の共済受給権の受け取り順位は、一般の相続財産におけるものとは少し異なり、小規模企業共済法で定められていますので、注意が必要です。
具体的な受給権の順位は、次のようになっています。
第1順位は配偶者(内縁関係者も含む)で、第2順位以下は共済者が亡くなった当時、共済契約者の収入によって生計を維持していた方で子、父母、孫等と続き、そして、次に、共済契約者の収入によって生計を維持していなかった方で子、父母、孫等の順位となっています。

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