事業承継等様々な観点から持株会社が作られることがあります。この場合、事業持株会社とするか、それとも純粋持株会社とするかの選択があります。
組織形態として、事業持株会社を作った後に、親会社自身が多額の資金を必要とする状況下におかれることがあります。
その場合、完全子会社からどのような手法で資金を調達できるのか課税関係を含めて整理をしてみたいと思います。
現金配当方式
完全子会社(以下、子会社)からの配当は、親会社にとっては全額益金不算入の適用対象となります。
なお、中途年度で子会社となった場合には一定の要件を満たさない限り、その年度での全額益金不算入の適用はありません。
また、子会社が配当金支払いの際には、20.42%の源泉徴収をしなければなりませんが、親会社の方では、全額所得税額控除ができます(中途年度を除く)。
自己株式の取得方式
子会社が親会社から自己の株式を取得した場合、親会社の方では、その対価のうち資本金等の額を超える部分はみなし配当となり、全額益金不算入になります。
また、この場合、親会社の方では子会社株式の売却となりますが、当該株式について有価証券の譲渡損益は認識されません。
一方、子会社の方では、みなし配当については源泉徴収しなければなりませんが、親会社の方で全額所得税額控除ができます。
この方式は、手続き的に煩雑で株価の算定も慎重にならざるを得ません。
寄附金方式
子会社からの寄附金については、親会社では全額益金不算入となり、寄附をした子会社では全額損金不算入となります。
なお、子会社からの寄附に対して親会社の当該子会社株式の帳簿価額を修正しなければなりません。
寄附金に関しては、煩わしい源泉徴収の手続きはありませんが、場合によっては配当とみなされるリスクがあります。
現物分配方式
子会社の資産を親会社に現物で分配します。
親会社では子会社の当該資産を子会社の簿価で受け入れ、その簿価については全額益金不算入となります。
一方、子会社の方では、当該資産を時価で譲渡したものとはみなされず譲渡損益は認識されません。
また、源泉所得税もありません。

当法人は当業務日誌で発信した情報について正確な情報をお伝えするように努力をしますが、誤り・正確さ・取引の正当性などについては、当法人およびその情報提供者は一切の責任を負いません。

記事を読まれた方又は第三者が当該業務日誌に記載されている情報などに基づいて被ったとされるいかなる損害についても、当法人およびその情報提供者は損害賠償その他一切の責任を負担致しません。

記事の内容についてのご質問はお問い合わせのページよりお願いいたします。

ご質問の内容によっては有料でのご対応、もしくはご返答いたしかねる場合がございますので、あらかじめご了承ください。