日本の高度成長期に、メーカーのモノづくりの体験の中から「失敗こそ宝」と言う経営哲学が生まれました。
これは、現在の経営においても役に立つ普遍的な重要性を持っています。
失敗の性質と対策
一口に「失敗」と言っても、その性質はいくつかあります。代表的な失敗は
①日常業務の手違いや実行した結果の確認漏れなど平凡なミスで、お客様や関係部門に迷惑をかけた失敗
②課題解決のために積極的に挑戦した結果生じた失敗
③社員に経験を積ませるために、はじめから分かっていながら、あえてさせる失敗
で、ケースに応じて失敗の意味を考え、対策をとる必要があります。
①の失敗は、一度は許しても、きちんと失敗した当人に注意を与え、再発させないようにする「しつけ」が大切です。
もちろん仕事の標準を改定し、再度徹底することが必要になる場合もあります。
②の失敗は、課題解決策を企画する段階で、担当者と上司が良く話し合い、成功した場合のメリット、失敗した場合の対応策まで考えた上で挑戦することが大切です。
③は新人教育・配置転換の初期などに意図的に失敗を織り込んで仕事に取り組ませるケースで、失敗した場合の原因分析と再発防止対策を本人にきちんと考えさせ、同じ失敗を再発させないことが目的に叶います。
トップ主導で失敗を宝にする留意点
①社員に「顧客ご満足」向上のための挑戦を求め、そのために失敗が起きても責任を問わず、その体験から学ぶ。
②一人の失敗はみんなの問題として原因や再発防止対策を考えさせる。
③本人が再起不能になるような致命的失敗はさせない。
トップがこのような姿勢を示す企業では、社員が“挑戦”の価値を覚え、失敗を隠すようなことがなくなり、「失敗を宝にすることが“善”であると言う社風」が形成されて事業の発展が図れます。

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