超稀少な人々
サラリーマン5500万人のための税制に「特定支出控除」という制度があります。
この利用者は極めて少なく、1000万人に1人の割合でしか利用されていないので、利用者に遭遇することは限りなく困難といえます。
平成20年の利用者数はたったの6人です。
平成19年で7人、平成18年で9人、平成17年で13名、平成16年9名、平成15年10名という状況です。
特定支出控除とは
サラリーマンにも確定申告の道を拓くものとして1987年(昭和62年)に創設されたもので、「給与所得者が特定の支出をした場合、その年の特定支出の合計額が給与所得額を超えるときは、その超える金額が給与所得控除後の金額から差し引ける」というものです。
もし、給与に係る必要経費があるとして、給与所得控除額よりも少ない金額で確定申告をしたとしても、その申告は誤りのある申告として、給与所得控除額による所得計算に置きかえる更正処分をされて税金は還付されます。
限定的な特定支出
特定支出は、
1)通勤費
2)転勤に伴う引っ越し費用等
3)研修費
4)一定の資格取得費
5)単身赴任者の勤務地と自宅の往復旅費
の5つだけです。
この5つという特定支出の範囲が極めて狭いこと、またその適用にあたっては、要件が事細かく定められていて限りなく使いにくいこと、ということをみていると、国税庁としてこれの利用者を絶対に増やさせない、との決意を固く持っているような印象を感じます。
政権交代でどうなるのか
今年の税制改正大綱に「給与所得控除と特定支出控除を見直すことにより、特定支出控除の選択的適用の増加を通じ、給与所得者の確定申告の機会拡大につなげます」とありました。
ただし、今年の改正税法の原案にはこれに係るものは全然ありませんでした。
特定支出控除制度は、すなわち架空経費控除になっている給与所得控除問題のことなので、容易には手がつけられないものなのでしょうか。
 

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