調査開始後の修正申告
会社に臨場しての税務調査が開始された後、会社側が申告の誤りに気付き、即座にその誤りを正す修正申告書を提出した場合は、調査中に非違事項として指摘される可能性があるものとして、「更正があるべきことを予知」した修正申告に該当するとして、過少申告加算税が賦課されてしまうのではないかと思ってしまいそうです。
 
しかし、こういう問題をめぐって裁判になった事例があります。
判決は納税者勝訴で確定
税務署が調査したからといって必ずしも非違事項が判明するとはいえず、判明する恐れがあることを納税者が覚知していたとしても、それだけでは、「更正があるべきことを予知」してい
たとは言えないため、過少申告加算税は課されない、というのが地裁判決の内容でした。
平成24年9月25日の判決で、国側控訴せず、で納税者勝訴が確定しています。
「調査」に該当しない『調査』
修正申告に加算税が課されるのは、「調査があったこと・・更正・・予知」という法律の文言から、「調査」が前提となるのですが、加算税事案に於いては、「調査」とは臨場調査の意味で、税務署内での机上調査は「調査」には該当しません。
最近発遣された国税通則法個別通達に、税務署からの次のような要請行為は「調査」があったことによる行為には該当しないものと、明記されています。
①要添付書類の自発的添付の要請行為
②計算・転記誤り、記載漏れの指摘による修正申告書の自発的提出の要請行為
③税法の適用誤り可能性の指摘による修正申告書の自発的提出の要請行為
④申告の必要の指摘による無申告者への申告書の自発的提出の要請行為
⑤源泉徴収税額の納付漏れ可能性の指摘による自主納付の要請行為
「調査」は多義的
法人税法に欠損金の繰戻し還付の規定があり、そこには、「調査」することが還付のための必要条件とされていますが、多くの場合、臨場調査のないままの繰戻し還付が実行されています。
ここでは、「調査」は机上調査と解されています。
法律上の「調査」の文言は、場合によって使い分けられるもの、多義的なもののようです。

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