「人事考課」は企業で一般的に活用されていますが、その目的・対象・方法などについて、経営者・管理者・社員が的確に理解し合っていないと、人事賃金制度の運用や社員の仕事をマネジメントする上で重大な誤解・曲解を生み出し、経営上の障害になりかねません。
人事考課で起り易い誤解
「人事考課」で最も起こりやすい誤解は「評価の対象」に関することです。
それは「“人”が“人の人格や全能力”を正しく評価できるわけがない」と言う見方によるもので、人事考課の対象を“人”としていることから起こる誤解です。
人事考課の対象は、「人が行った仕事、すなわち仕事のプロセスで発揮した能力や、その結果生み出された業績、仕事の仕方に現れた意欲など、事実としてとらえ得る事柄」であり、
性格・気質・人生観などは、仕事における能力発揮の背景として重要であっても、直接観察することができない事柄は対象としません。
また学歴・資格などは持っていても、具体的な仕事のプロセスや業績として現われない限り、評価の対象としません。
人事考課の二つの目的と留意点
「人事考課」を活用する目的は次の二つです。
1.賃金を公正・納得性を持って適用するための根拠として、業績・発揮能力・意欲などを評価・格付けする。
2.発揮能力を的確にとらえて、不足している能力を開発したり、より向上させるべき能力を発見して伸ばす。
この目的と評価の対象を考え併せると、次の点に留意して制度を設計し、運用することが重要であり、
考課者・被考課者の双方にとって、公正性・納得性のある考課を行い、その結果と根拠の説明において曖昧性をなくすことが求められます。
そのため、
①考課者(経営者・管理者)は、仕事の遂行過程で起こった発揮能力や意欲、その結果としての業績の事実を的確にとらえ、考課の材料とすること
②考課者は考課の結果やその理由、事実をもとに被考課者へ説明(フィードバック)し納得を得ること
を重視すべきです。

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