退職金の外部積立による国の共済制度
中小企業退職金共済制度(中退共)では退職金を減額することを検討し始めたという話題がありました。
中退共は中小企業の従業員が加入できる国の退職金制度で現在、36万事業所が加入し、324万人の加入員がいます。
掛け金が企業の損金計上できる税制優遇制度があり、加入時や掛け金増額時に国からの助成も受けられます。
企業規模は従業員300人以下の事業所で(業種によっても違う)自前で退職金制度を運用するのが難しい小規模事業所が多いです。
株式市場の低迷で運用実績悪化
中退共は2011年末で1,741億円の累積欠損金を抱えています。
先日来の厚生年金基金制度の廃止問題と同様に運用難による積立不足が発生しているのです。
そもそも中退共の運用利回りは1%と想定していますが、実際はこの率では運用できていません。
対策案としてこの率を0.8%に引き下げを検討するとしています。
利回りが下がれば当然退職金額は下がります。
他の案として最低掛け金月5,000円を増やしたり、運用益が出た場合の付加退職金の半額支給の率を下げたりして積立金に充当する案等も出ています。
企業としては退職金規定で中退共の退職金だけを支払うことにしている場合は、従業員の受取額は減りますが、会社負担は増えません。
しかし規定に退職金額が設定されていて、中退共だけでは足りなくなる時は、会社の負担額が増えるかもしれません。
中小企業の退職金制度は再考の時
企業年金では先日厚労省が厚生年金基金制度を今後10年で廃止するという方向を示してきました。
2012年3月には適格退職金制度が廃止され、3割の企業は中退共に移行しましたが、残りの7割は企業年金を止めてしまったという状態です。
確定給付企業年金や確定拠出年金は小規模事業所には導入しづらい面もあり拡大は今一つです。
会社への忠誠心や老後の安心感として、税制面の優遇などもあり、普及してきた退職金制度も長期にわたる低金利で運用難に陥っています。
持続可能で安心感のある制度にするには退職金制度の見直しが必要かもしれません。

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