マルシー表示は何の意味があるか?
書籍やホームページで、Ⓒの表示(一般的にマルシー表示と呼ばれています)の後に、名前や西暦が書かれている例をよく見かけると思います。
何となく推測はできるものの、それが示す正確な内容、法律上の意味が何であるのかは意外と答えられないのではないでしょうか。
国内では、表示なくとも著作権は発生する
日本では、著作権は創作的な表現をすることにより発生するものであり、特許権や商標権などのように特許庁に登録するといった手続は不要です。
これは無方式主義といい、大半の国でも同じです。
直接的には国際的に意味を持つ
これに対し、著作権の発生や行使をするためには著作権表示、登録などといった手続が必要とする立場(方式主義)の国もあります(かつてのアメリカ、中南米諸国、いくつかのアジア、アフリカの諸国)。
そうしますと、例えば日本で最初に発行された著作物について、上記の国で著作権法の保護を受けるために、いちいちその国の手続をとるというのでは余りに煩雑です。
そのため、著作権に関する国際的な取り決めである万国著作権条約にて、加盟国間では、当該著作物の全ての複製物に、
①Ⓒの記号
②著作権者の氏名
③最初に発行した年
を相互に近接して、見やすい場所に分かり易く表示することで、加盟国における著作権法による保護が受けられると定められました。
これが、マルシー表示の法律上の直接的な意味です(もっとも、この条約後、大部分の国が無方式主義に転じたので、実質的意義はほぼ消失しました)。
国内でも警告機能として意味がある
しかし、国内で全くこの表示が無意味かというとそんなことはありません。
表示によって、端的に著作権の所在を証明することができますし、相手方に対する警告や、侵害行為があったときの損害賠償請求にあたり、侵害者の過失の証明がしやすくなる(相手は当然その著作権表示を見ていたはずだから)という利点があります。
特に自らの著作権を守りたいものについては、先程申し上げた3要素(Ⓒの記号、著作権者の氏名、最初に発行した年)をしっかり表示することが肝要といえます。

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