ポイント引当金とは
近年の法人税の改正は「税率軽減・課税ベース拡大」の方向で進んでいますが、その際に話題に挙がるも
のに引当金があります。
税務では債務確定主義の見地から見積計上である引当金は徐々に整理されてきましたが、会計分野では、今どきの事情を反映した引当金も増えてきています。
大手携帯電話会社、家電販売店、百貨店等ではポイント引当金が問題となります。
これは、ポイント制度(商品購入・サービス利用の都度ポイントが付与され、次回以降の購入・利用の際にポイントを使用できる制度)を採用している企業に用いられ、NTTドコモのH25.3期連結決算では1,731億円、KDDIは916億円とインパクトが大きな数字を計上しています。
会計上は明確なルールはない
金融庁ではH20に「ポイント及びプリペイドカードに関する会計処理について」を公表しています。
この時点ではポイント発行について明確な会計基準はなく、発行企業が企業会計原則等を考慮しながら個別対応している状況で、売上値引処理か販管費処理とするかなどスタンスの違いが見られました。
それでもポイント制度が定着し、過去の実績データも蓄積してきたため、「ポイント使用時」に費用処理するとともに、未使用ポイント残高に過去の実績(失効率)を加味して引当計上する流れが出来つつあったとのことでした。
現時点でも状況は変わりませんが、IFRS導入企業は「ポイント発生時」に費用認識するため、計上時期の変更による影響が大きいと言われています。
中小企業は「金品引換費用の未払計上」
中小企業の場合には、法人税基本通達にある「金品引換費用の未払計上」を用いることが考えられます。
これは
①金品引換券が販売価額等に応ずる点数が表示されており
②たとえ1枚の呈示でも引き換える制度
ならば、次の算式による金額を、商品の販売事業年度(ポイント発生時)に損金経理により未払計上できるというものです。
1枚または1点について交付する金銭の額×その事業年度に発行した枚数・点数
蓄積型ポイント制度による場合や、値引処理とされる場合には、確定債務と同視しがたいものとして適用できないケースもあるようですので、税務も考慮したキチンとした制度設計が必要です。

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