給与所得者は「特定支出控除」拡大(H25)
スーツを着て商売をされる方から「スーツは経費にならないのか?」という質問がよくあります。
H25年の改正で、給与所得者の給与収入から差引くことができる「特定支出」に「勤務場所において着用することが必要とされる衣服を購入するための費用」が加えられました。
しかしながら、この「特定支出」もハードルが高そうです。
国税庁の説明では、勤務場所において、背広などの特定の衣服の「着用が慣行」があるときなどは、直接必要なものであることについて給与等の支払者による証明が必要とされています
必要経費・家事費・家事関連費の区別
個人事業者については、業務に関連があり必要性が認められる支出は「必要経費」とされますが、それ以外のものは所得税法の言い方では「家事費」とされ「必要経費」とすることはできません。
問題は「必要経費」と「家事費」が混在する「家事関連費」です。
これは業務上必要な部分を合理的な按分基準を示すなどして、経費部分を自ら明らかにする必要があるのです。
被服費の必要経費性の判例
被服費に関しては、S49の京都地裁判決があります。
この判決では、被服費は、
①誰もが必要であること
②個人の趣味嗜好が入ること
③耐用年数にかなりの個人差がある
ことから「家事費」と考えることが一般的状況としながらも、
警察職員のように職務命令で着用し、職務以外では着用できないものもあるため、そのような特殊な職業ではなくとも、
①職務で専ら着用し
②地位・職種に応じ勤務上、一定の種類・品質・数量以上の被服を必要とする
ケースにおいては、「家事費」ではなく、「家事関連費」とするのが相当であるという判断を示しています。
しかし、この裁判では納税者は「業務上必要な部分」を自ら明らかにすることはできず、必要経費とはされませんでした。
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