平成19年の国税庁民間給与実態統計調査によると、給与所得者数は約5,377万人、国税庁レポートによると、給与所得のある者で平成19年分の確定申告をしたのは約264万人で、我が国のほとんどのサラリーマンは、確定申告をしていません。
これは、給与所得者には、特定の場合を除き必要経費が認められず、勤務先の年末調整で納税が完結してしまうためです。
年末調整は例外的制度?
年末調整の制度が導入されたのは、第二次大戦直後の昭和22年(1947年)です。
当時は、給与所得が5万円以下の場合に、確定申告手続きを省略して年末調整で所得税の納税を完結させるものでした。
1949年、シャウプ勧告は、税務署の事務負担は大きいが、年末調整の手続きを速やかに税務署に移管すべきと提唱しました。
また、旧大蔵省編纂の「昭和財政史」では、『選択的であれ、給与所得についても実額による経費控除を認めるのが筋』と指摘しており、年末調整はあくまでも例外的な制度と考えられていたように思います。
必要経費が申告できる場合
現在、サラリーマンは、次項の特定支出額と呼ばれる必要経費が給与所得控除額を超える場合にのみ、確定申告により、給与所得控除額を超える部分の金額を控除できることとされています。
特定支出額
①通勤費
②転任に伴う転居のための引越し費用
③職務に直接必要な技術や知識を得ることを目的とした研修費
④職務に直接必要な資格取得費(弁護士、税理士などの資格を除く)
⑤月4回までの単身赴任の帰宅旅費
上記のように5項目に限定されているため、年間数人にしか利用されていません。
これからの方向性を考える
仮に、サラリーマンにも確定申告が認められることとなっても、今の特定支出額の延長上で必要経費を認めるだけだとしたら、まさに絵に描いた餅です。
終身雇用制度が崩れ、各人の自己責任が問われる昨今、自己投資として通う語学学校など各種スクールの学費や専門書籍代なども必要経費として認めるなど、国としての方向性を示す必要があるでしょう。

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