日切れ法案で税制改正阻止
予算案は国会通過したものの、予算関連法案が衆議院で立ち往生したままで、成立の見通しが立たない状況になっています。
税法本法は無期限規定として立法されますが、租税特別措置法は臨時の特例措置として立法されますので、原則として適用期限を区切って立法されます。
今回は、自民党・公明党の野党議員から、租税特別措置法の3月末日で日切れるほとんどの規定を3ヶ月間延長する「つなぎ法案」が提起され、賛成多数で国会通過していますので、現状維持がつづいています。
政府の税制改正が阻止されているわけです。
3月31日が日限ではなかったので
日切れとなるほとんどの規定がつなぎ法案の対象となってはいるのですが、平成22年12月31日にすでに日切れとなっていたローン無しでの既存住宅改修(バリヤフリー改修と省エネ断熱工事)に係る10%税額控除の規定についてはつながれていません。
つなぎ無しで今年が経過してしまった場合には、次の確定申告においてこの税額控除規定は使えないことになります。
つながれなかったその他の規定
3月31日の日限であるのにつなぎ法案の対象に取り込まれなかった所得税に係る規定としては、採石・採炭災害防止準備金、農業経営基盤強化準備金があります。
政府としては、前者は廃止の予定、後者は2年延長の予定にしていました。
法人税に係る規定でつなぎ法案の対象に取り込まれなかったものとしては、試験研究費の税額控除の特例規定の中の一部分があります。
税法本法については
所得税法や法人税法などの税法本法については日切れになるものはありませんので、つなぎ法案の対象になっているものはありません。
改正法案が通らないと、単純に旧規定が存続し続けるだけなので、つなぐ必要がないわけです。
ただし、もし税制改正案が今後国会通過し成案となった場合、旧規定の存続については、「改正法の施行日前日までのもの」と、「改正新規定が1月1日や4月1日に遡及適用され、結果として旧規定の存続はないことになるもの」とがあります。
租税法規不利益不遡及の原則があるので、納税者不利規定は「遡及しないで施行日以後から適用」、納税者有利規定は「遡及して、法律の規定日から適用」、となるからです。

当法人は当業務日誌で発信した情報について正確な情報をお伝えするように努力をしますが、誤り・正確さ・取引の正当性などについては、当法人およびその情報提供者は一切の責任を負いません。

記事を読まれた方又は第三者が当該業務日誌に記載されている情報などに基づいて被ったとされるいかなる損害についても、当法人およびその情報提供者は損害賠償その他一切の責任を負担致しません。

記事の内容についてのご質問はお問い合わせのページよりお願いいたします。

ご質問の内容によっては有料でのご対応、もしくはご返答いたしかねる場合がございますので、あらかじめご了承ください。