業績評価を行う場合、担当者の納得性を高めるため、期末の評価に「自己評価」を取り入れている企業は、労務行政研究所によれば、管理職で76.7%、一般社員で70.5%に及んでおり、一般化しているといえますが、そこには問題点も存在します。
「自己評価」の問題点
一般に「自己評価」は目標管理シートの目標達成度自己評価欄に、担当者自らの判断で記入し、上司はそれを見た上で評価を決定しますが、この時よく起こる問題として、
・担当者は、自分の目標達成度をできるだけ高く評価したい心理が働く。
・上司は評価決定後のフィードバックの際、担当者の納得性に問題が生じることを恐れて、担当者の自己評価より低い評価を避けたい心理が働く。
・結果として、目標達成度が高めに評価され、その後の評価・調整プロセスでも修正しきれない。
・このような評価が積みあがると、会社や部門全体の業績と比べて、目標管理における目標達成度が高い、という矛盾した評価結果になってしまいます。
「自己評価」方式実施上の注意
「自己評価」の実施に伴う問題を避けるためには、目標管理制度運用上、次の3つの条件が備わっていることが必要です。
1.目標設定時に「どのような状況になれば目標が達成された、と判断できるのか、可能な限り客観的な数値を用いて、または固有名詞を中心にした具体的表現で目標が達成された状況を記述、可視化して合意しておく。
2.目標達成プロセスで生じた阻害要因や成功要因に対する担当者自らの努力、発揮能力、上司の支援とその結果を具体的事実として認識する。
3.目標達成度自己評価・上司評価・調整の際、上記1、2の事実認識を根拠に挙げて評価を行う。
トップの注意点
評価の納得性は“目標の具体性と事実に基づく評価”によって生まれるものであるという認識を、「自己評価」「上司の評価・調整」で理解浸透させ、組織風土として根付かせることに留意したいものです。

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