公的年金の支給は「後払い」
相続税の申告で誤りやすい事例の一つに、被相続人の「未支給年金」があります。
年金は偶数月の15日に、前々月分と前月分の2か月分が支給されます。
受給者が亡くなった場合、年金が「後払い」であるために、受け取る権利があっても受け取ることができない年金が必ず生じます。
これを「未支給年金」といいます。
未支給年金は遺族の請求手続きが必要
未支給年金は、遺族が被相続人に代ってもらうことができるのですが、年金事務所等に「請求」手続を行わないと支給されませんので、死亡の届出(支給停止手続)と一緒に手続きを済ませるとよいでしょう。
支給を受けることができる遺族は、年金受給者が亡くなった時に、被相続人と生計を同じくしていた①配偶者、②子、③父母、④孫、⑤祖父母、⑥兄弟姉妹、⑦その他これらの者以外の3親等内の親族で、未支給年金を受け取れる順位もこのとおりです。
ただし、奇数月の中旬から次の年金支給日までの間に亡くなった場合には、金融機関の手続が進んでいるため、通常の支給日(15日)に、被相続人の口座に年金が入金されることがあります。
相続税の対象とならず、遺族の一時所得
このようなお話をすると「未支給年金」(未支給年金請求権)は被相続人の相続税の課税財産として、相続税の課税対象となるように聞こえるかもしれませんが、相続税の課税財産とはなりません。
これは、国民年金法等では、未支給年金を支給請求することのできる者の範囲や順位が、民法の相続とは異なったルールで決められており、その支給が遺族の生活保障を目的とするものであるため、「遺族の固有の権利」として請求するとして、相続性がないものとされているからです(「みなし相続財産」にも該当するものがありません)。
そのため、未支給年金の支給を受けた遺族の「一時所得」に該当することとされています。
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