法人税法では、収益の計上は別段の定めがある場合を除き、一般に公正妥当と認められる会計基準に従って処理されます。
そこで「請負」と「委任」によって、収益の計上にどのような違いが生じるか検討してみたいと思います。
請負契約と収益計上
民法では、請負に関する報酬の請求権は、仕事を完成してその目的物を相手方に引渡した時(物の引渡しを要しないときは、約した仕事が完了した時)に発生するとしています。
したがって、法人税法上でも原則その収益計上は、
物の引渡しにあっては、その目的物の全部が完成して相手方に引渡した日の事業年度、
役務にあっては、約した役務の全部を完了した日の事業年度、ということになります。
これはいわゆる完成引渡基準と呼ばれるものです。   
   
しかし物の引渡しを要しない請負契約、
例えば、設計・測量・調査といった技術役務の提供にあっては、
派遣日数、滞在日数等により、
一定の期間ごとにその金額が確定している場合や報酬が作業の段階ごと区分され、
かつ、それぞれの段階の作業が完了する都度、その金額を確定させている事実があれば、
その都度収益を計上すべきものとしています。
なお請負契約においては、完成した仕事に不備(瑕疵)があれば、その補修責任及び賠償責任を負います。
その意味では、上記の引渡基準のみならず検収基準も考慮されるべきもと考えます。
委任契約と収益計上 
委任における報酬の請求は、請負と違って仕事の結果に対するものではなく、委任事務の履行そのものに対する請求であり、その事務を履行した後でなければ請求できません。
ただし期間によって報酬を定めたときは、その期間を経過した後に請求することができることとなっています。
したがって、法人税法上もその報酬の収益計上は、課税上弊害がない限り定められた契約の内容に準拠する以外にないと考えます。
なお請負契約においても委任契約においても、役務の提供に際して収受する着手金等については、原則後日精算して剰余金があれば返還することになっていないものについては、その収受した日の属する事業年度の収益に計上する取り扱いになっています。

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