企画職・専門技術職など知識労働者について、経営者の期待は、「知的労働の質と創造的発想、仕事の効率的方法によってCS(顧客満足)と利益を高める良い企画や製品開発・生産技術開発などの成果をスピーディーにあげること」にあります。
成果主義賃金の問題点
ところが、成果を評価し、賃金を支払う場合、経営者の意図に反して好ましくない問題が発生します。
すなわち、多くの企業が最近10年前後に、成果主義賃金を導入した結果、次のような問題を体験したことが知られています。
①「成果」が求められているため、担当者本人も上司も「成果」を強く意識するあまり、プロセスでの職務遂行能力の発揮の仕方を軽視するようになった。
②チームで取り組んだ仕事の成果について、一部の目立ちやすい担当者ばかりが高い評価を受け、目立たない下積みの協力は評価されない不公平が生じた。
③目標達成度評価を高くするため、目標レベルを意識的に低く設定するようになった。
④新しい業務領域を担当すると、初めは高い成果が得られにくいため、新しい仕事にチャレンジしなくなったり、そのための人事異動を避けるようになった。
問題を解決する経営者の留意点
問題解決のカギは次の通りです。
①知識労働者の人事賃金制度を設計する場合、「成果」で考課するのは管理者・同相当の専門職とし、育成過程にある社員は「成果及び発揮能力」等で考課する。
また、管理者の考課項目に部下の育成実績を設け、育成努力の手抜きを防ぐ。
②チームで取り組む業務の場合、その目標達成やプロセスの職務遂行能力発揮について、リーダーがチームメンバーの相互評価などを参考とすることにより、メンバーの貢献実績考課を公正に行う。
③社員の社内階級に応じた役割・期待貢献を明確に設定・公開し、考課する。
④新しい業務領域にチャレンジしたり、新分野へ積極的にチャレンジする異動を高く評価する。

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