民法と相続税
民法では、養子の数に制限をもうけていませんが、相続税では、相続人に養子がいる場合の法定相続人の数に含める養子の数を制限しています。
理由は、養子の数が増えると次のような税負担の軽減が図られるからです。
①遺産に係る基礎控除額が大きくなる
②累進税率が緩和され相続税の総額が縮減される
③保険金の非課税限度額が大きくなる
④退職手当金の非課税限度額が大きくなる
制限される養子の数
被相続人に養子がある場合には、次の区分により「法定相続人の数」に含める養子の数が制限されます。
・相続人に実子がいる場合・・・・1人
・相続人に実子がいない場合・・・2人
なお、この制限措置は、民法上の養子縁組の効力や養子に相続人としての地位を否定するものではありません。
あくまで相続税の計算上の措置にすぎないので注意が必要です。
養子であっても実子とみなす場合も
民法上は、被相続人と養子縁組により養子になった者であっても、次の養子は、相続税の課税上、実子とみなし、法定相続人に含める養子の数の制限の対象から除外しています。
①民法の特別養子縁組による養子なった者
②被相続人の配偶者の実子で被相続人の養子になった者
③被相続人との婚姻前に被相続人の配偶者の特別養子縁組による養子となった者でその被相続人の養子となった者
④被相続人の実子若しくは養子又は直系卑属が相続開始以前に死亡し、又は相続権を失ったため相続人となったその者の直系卑属
上記、②又は③のいわゆる配偶者の連れ子養子については、被相続人とその配偶者との婚姻後にその被相続人の養子となった者に限られます。
したがって、被相続人と配偶者との婚姻前に被相続人と養子縁組をしても、それは実子とみなさる養子ではなく、通常の養子として取り扱われます。
なお、被相続人の配偶者の死亡後その配偶者の子と養子縁組をした場合には、姻族関係を終了させて後の養子縁組でない限り、被相続人の配偶者の実子(特別養子も含む)で被相続人の養子となった者、すなわち実子とみなされる者に該当します。

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