資産の交換と所得税法・法人税法
譲渡とは、税法では、有償無償を問わず、所有資産を移転させる一切の行為をいいます。
通常の売買のほか、交換、競売、公売、代物弁済、財産分与、収用、法人に対する現物出資なども含まれます。
したがって、交換も譲渡の一種なので、資産の交換が行われた時は原則として、「交換引き渡し資産を譲渡し、その対価として交換取得資産を受け取った」ということになります。
ただし、譲渡と交換の違いを考慮して、土地や建物等の特定の資産の交換については、譲渡は無かったことにする特例が、所得税・法人税にあります。
しかし、ここで特例とされている資産には株式は含まれていません。
株式の交換と税法
譲渡の特例としての交換に該当する交換資産は、土地・建物・機械装置・船舶・鉱業権に限定されているので、株式と株式を交換しても譲渡はなかったことになりません。
株式と株式の交換は、持っている株式を売却し、現金を受け取り、その金銭で別な株式を購入する行為と考えることになっています。
ただし、株式と株式の交換にも、譲渡がなかったことになる特殊な特例があります。
会社法における企業組織再編の一手法としての株式交換・株式移転です。
会社法上の株式交換等は、“会社の意思”により決定されるもので、株主総会の特別決議で承認されてしまえば、個人の意思に関係なく、たとえその個人が株式交換等に反対していたとしても、株式交換等が実行されます。
それゆえ、一定の要件を満たす株式交換等については、株主に譲渡課税を行わないことになっています。
株式と株式の交換
株式と株式の交換は株主の個人的な意思に依存するものですから「株式交換等」とは異質なものです。
たとえば、TOB(敵対的買収)が行われるとき、買収会社が被買収会社の株主に対し、被買収会社の株式に対し、買収会社の株式を与えることがあります。これなどは、組織再編行為によるものではないので、単なる株式と株式の交換の仲間になります。
タックスアンサー

No.3105
◎譲渡所得の対象となる資産と課税方法
第58条(固定資産の交換の場合の譲渡所得の特例)
 居住者が、各年において、1年以上有していた固定資産で次の各号に掲げるものをそれぞれ他の者が1年以上有していた固定資産で当該各号に掲げるもの(交換のために取得したと認められるものを除く。)と交換し、その交換により取得した当該各号に掲げる資産(以下この条において「取得資産」という。)をその交換により譲渡した当該各号に掲げる資産(以下この条において「譲渡資産」という。)の譲渡の直前の用途と同一の用途に供した場合には、第33条(譲渡所得)の規定の適用については、当該譲渡資産(取得資産とともに金銭その他の資産を取得した場合には、当該金銭の額及び金銭以外の資産の価額に相当する部分を除く。)の譲渡がなかつたものとみなす。
◆1 土地(建物又は構築物の所有を目的とする地上権及び賃借権並びに農地法(昭和27年法律第229号)第2条第1項(定義)に規定する農地の上に存する耕作に関する権利を含む。)
◆2 建物(これに附属する設備及び構築物を含む。)
◆3 機械及び装置
◆4 船舶
◆5 鉱業権(租鉱権及び採石権その他土石を採掘し又は採取する権利を含む。)
第2条(定義)
◆12の16 適格株式交換 次のいずれかに該当する株式交換で株式交換完全子法人の株主に株式交換完全親法人の株式又は株式交換完全支配親法人株式(株式交換完全親法人との間に当該株式交換完全親法人の発行済株式等の全部を保有する関係として政令で定める関係がある法人の株式をいう。)のいずれか一方の株式以外の資産(当該株主に対する剰余金の配当として交付される金銭その他の資産及び株式交換に反対する当該株主に対するその買取請求に基づく対価として交付される金銭その他の資産を除く。)が交付されないものをいう。
イ その株式交換に係る株式交換完全子法人と株式交換完全親法人との間に同一の者によってそれぞれの法人の発行済株式等の全部を直接又は間接に保有される関係その他の政令で定める関係がある場合の当該株式交換
ロ その株式交換に係る株式交換完全子法人と株式交換完全親法人との間にいずれか一方の法人が他方の法人の発行済株式等の総数の100分の50を超え、
かつ、100分の100に満たない数の株式を直接又は間接に保有する関係その他の政令で定める関係がある場合の当該株式交換のうち、次に掲げる要件のすべてに該当するもの
(1) 当該株式交換完全子法人の当該株式交換の直前の従業者のうち、その総数のおおむね100分の80以上に相当する数の者が当該株式交換完全子法人の業務に引き続き従事することが見込まれていること(当該株式交換後に当該株式交換完全子法人を被合併法人、分割法人、現物出資法人又は事後設立法人(以下この号及び次号において「被合併法人等」当該株式交換後に当該株式交換完全子法人を被合併法人、分割法人、現物出資法人又は事後設立法人
「被合併法人等
とする適格合併、適格分割、適格現物出資又は適格事後設立
という。)とする適格合併、適格分割、適格現物出資又は適格事後設立(以下この号及び次号において「適格組織再編成」という。)に伴い当該相当する数の者の全部又は一部が当該適格組織再編成に係る合併法人、分割承継法人、被現物出資法人又は被事後設立法人(以下この号及び次号において「合併法人等」という。)に引き継がれることが見込まれている場合には、当該相当する数の者のうち当該合併法人等に引き継がれるもの((1)において「合併等引継従業者」という。)が当該株式交換後に当該株式交換完全子法人の業務に従事し、当該適格組織再編成後に当該合併法人等の業務に従事することが見込まれ、かつ、当該相当する数の者のうち当該合併等引継従業者以外のものが当該株式交換完全子法人の業務に引き続き従事することが見込まれていること。)。
(2) 当該株式交換完全子法人の当該株式交換前に営む主要な事業が当該株式交換完全子法人において引き続き営まれることが見込まれていること(当該株式交換後に当該株式交換完全子法人を被合併法人等とする適格組織再編成によりその主要な事業が移転することが見込まれている場合には、当該主要な事業が、当該株式交換後に当該株式交換完全子法人において営まれ、当該適格組織再編成後に当該適格組織再編成に係る合併法人等において引き続き営まれることが見込まれていること。)。
ハ その株式交換に係る株式交換完全子法人と株式交換完全親法人とが共同で事業を営むための株式交換として政令で定めるもの

当法人は当業務日誌で発信した情報について正確な情報をお伝えするように努力をしますが、誤り・正確さ・取引の正当性などについては、当法人およびその情報提供者は一切の責任を負いません。

記事を読まれた方又は第三者が当該業務日誌に記載されている情報などに基づいて被ったとされるいかなる損害についても、当法人およびその情報提供者は損害賠償その他一切の責任を負担致しません。

記事の内容についてのご質問はお問い合わせのページよりお願いいたします。

ご質問の内容によっては有料でのご対応、もしくはご返答いたしかねる場合がございますので、あらかじめご了承ください。