パワハラ防止措置を企業に義務付け
令和元年5月に職場におけるパワハラ防止措置を義務付ける「労働施策総合推進法」が成立しました。
パワハラに関してはこれまで定義や防止措置を定めた法律はありませんでしたが、パワハラを「職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であって、業務上かつ必要な範囲を超えたもの」と定義しました。
事業主は労働者の就業環境が害されることのないよう、労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備や雇用管理上の措置を講じることを義務付けています。
従前の防止措置の見直しや改善の機会
この法律の条文ではパワハラの定義、事業主のパワハラ防止措置義務、事業主による不利益取り扱いの禁止、講ずべき措置を指針で定め、事業主は防止のための研修の実施やその他の配慮等をするよう規定されています。
しかし何がパワハラか、何の措置をするのかは明確ではありません。
具体的には指針で示されるとされています。
企業はパワハラにおいて「相談者の訴えがパワハラに該当するのか否か」「パワハラと業務上の指導との線引きはどこか」というのがわかりにくいものです。
今後示される指針においてもパワハラの線引きは難しいのではないかと思われます。
パワハラに該当するか、どこまでが業務上の指導なのかは各企業の業種、風土、状況、目的、必然性、立場等背景が様々だからです。
各企業によって、うちにとってこれはパワハラに当たるのか、このような行為は好ましくないのではないかを考えることで、企業と従業員が納得できる認識を持てるようにすることが理想ではないかと思います。
事業主は安全配慮義務を負う
パワハラは職場環境を悪化させ従業員の心身の健康を損なう危険を有するものです。
パワハラは上司から部下に対するものばかりではなく、対等な従業員間でのいじめや嫌がらせ等深刻な事態になりそうな時は安全配慮義務から指導も必要でしょう。
また指導義務の直接の対象ではないものの顧客や取引先におけるカスタマーハラスメントも耳にします。
一方で自社社員が加害者にならないとも限りません。
このように事業主は相談体制や研修を通じ多面的にハラスメントに対する防止措置を果たすことが必要とされてくるでしょう。
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