税制改正大綱で評価方法を明示
配偶者終身居住権に係る改正民法の施行は2020年4月なのに、2019年税制改正大綱は早々に配偶者終身居住権の評価方法を明示しました。
内容は、民法部会が公表しているものと同じなので、その踏襲を確認しただけとも言えます。
しかし、評価方法以外にも、重要な問題があるはずです。
終身居住権の消滅益への課税は?
終身居住権は一身専属権として死亡と共に消滅するものです。
その自然消滅によって、終身居住権付不動産は何の制限もない不動産に生まれ変わります。
その時に、終身居住権の消滅益を認識するのか、否か、重要なテーマです。
承継取得原価はどうなる?
例えば、収用があり、終身居住権とそれに係る土地建物の譲渡がなされるとした場合、譲渡収入は時価評価の比で按分計算されるとしても、その譲渡原価はどういう計算をすることになるのでしょうか。
現行法では、居住権付不動産の譲渡の場合、原価の一部を居住権に按分配賦することはしません。
そういう計算は借地権についてのみあるだけです。
終身居住権にも譲渡原価を割り振るのだったら、税制改正が必要です。
登記前提の債権・配偶者終身居住権の性格
終身居住権は登記されることを前提にしているので、債権でありながら、借地権のような物権的性格を強く持ちそうです。
借地権の登記の場合は土地固定資産税評価額の1,000分の10ですが、大綱には、終身居住権登記の登録免許税を建物固定資産税評価額の1,000分の2としています。
登記は、土地部分にもなされるはずなので、この部分についての取扱いは不明です。
第3の基礎控除が新生
配偶者終身居住権は、非嫡出子との遺産分割を想定しての制度創設と解説されていますが、その利用は非嫡出子限定ではありません。
ネットで、小規模宅地の特例は第2の基礎控除だ、と言っている人がいます。利用の普遍性からして、うまい表現と思いますが、そうすると、新生の配偶者終身居住権は第3の基礎控除と言えそうです。
子が土地建物を相続しても、相続配偶者に終身居住権を設定すれば、その部分は配偶者の税額軽減で実質非課税扱いになり、かつ第二次相続では、無税となるからです。
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