役員報酬や従業員に給料を支払っている会社や個人事業主は、給料から所得税(源泉所得税)を天引きし、支払い月の翌月10日までに納付しなければなりません。
従業員が常時10人未満の場合には、年2回(7月10日、1月20日)にまとめて納付することができる「納期の特例」制度があります。
経営者にとっては身近な税金のひとつですが、この源泉所得税の納付が遅れた場合どうなるでしょうか?
(1)不納付加算税
源泉所得税の納付が1日でも遅れてしまった場合は、不納付加算税が追加でかかってしまいます。
源泉所得税にかかる不納付加算税は、遅延日数に関わらず、納付しなければならない源泉所得税の10%です。
しかし、税務署からの指摘などにより納付するのではなく、自主的に納付した場合は、納付しなければならない源泉所得税の5%となります。
例えば、税務署から納付確認を受けた段階で、すぐに納付した場合は、自主的に納付したことになりますので、そのような場合は急いで納付しておきましょう。
不納付加算税が免除される規定があります。
① 不納付加算税の金額が5,000円未満である場合
②「法定納期限の翌日から1ヶ月以内に納付され」、かつ「その直前1年分について納付の遅延をしたことがないこと」(偶発的な納付遅延)
③「法定納期限の翌日から1ヶ月以内に納付され」、かつ「新たに源泉徴収義務者となった者の初回の納期に係るものであること」(初回の納付遅延)
例 9万円の源泉徴収金額を納期限までに納付しなかった場合
①税務署指摘により納付した場合 9万円×10%=9,000円
②自主的に納付した場合 9万円×5%=4,500円 ⇒5,000円未満のため免除
(2)延滞税
源泉所得税の納付が遅れると、延滞税も加算されます。
延滞税は、納付期限の翌日から納付するまでの日数に次の年利率(平成29年)を掛けて計算されます。
① 法定納期限の翌日から2カ月を経過する日までの期間 ⇒2.7%
② 納期限の翌日から2月を経過する日の翌日以後 ⇒9.0%
こちらは日割り計算があり、計算した延滞税が1,000円未満の場合は免除されます。
重加算税がかかるなどの悪質な場合を除いて、原則、最長で1年分となります。
納期の特例を受けている場合は、半年分の源泉所得税の納付となるため、納付額が多額になりがちです。
遅れてしまった場合、不納付加算税も大きくなる恐れがありますので、年2回、7月10日と1月20日の納付があることを覚えておきましょう。
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