従業員を雇った場合には、個人事業であっても社会保険に加入する義務が生じます。
従業員1人でも雇った場合には、労災保険・雇用保険、5人以上雇った場合には、健康保険・厚生年金に加入しなければなりません。
(1)労災保険
労災保険は、仕事中や通勤途中に事故や災害によってケガをしたり、業務が原因で病気になったり死亡した場合、従業員やその遺族に対して国から給付金が支払われます。
従業員を1人でも雇った場合には、労働時間等にかかわらず必ず加入しなくてはなりません。
一般の従業員だけでなく、パート、アルバイト、日雇、派遣など、雇用形態にかかわらず、全ての労働者が対象となります。
ただし、個々の労働者ごとの届出は必要ありません。
労災保険率は、事業の種類ごとに、54の区分に分類されて「労働保険料率表」により定められています。
・加入条件・・・1名から
・保険料負担・・・全額事業主負担
・保険料率・・・事業の種類ごと(例 小売店・飲食店 3.5/1000、その他 3/1000 など)
・加入先・・・労働基準監督署
(2)雇用保険
雇用保険は、労働者が失業した場合などに失業等給付(失業保険)を支給するとともに、雇用安定事業および能力開発事業を行う保険制度です。
従業員を雇った場合、常用、パート、アルバイト、派遣など雇用形態にかかわらず、次の要件を満たせば加入が必要となります。
① 1週間の所定労働時間が20時間以上
② 31日以上の雇用見込みがある
要件に満たないパート等のほか、短期の季節雇用者、日雇い等は加入義務はありません。
・加入条件・・・1名から(上記適用要件を満たす場合)
・保険料負担・・・従業員と個人事業主
・保険料率・・・従業員3/1000、事業主6/1000(平成29年度一般の事業)
・加入先・・・ハローワーク(公共職業安定所)
(3)健康保険・厚生年金
個人事業であっても、適用業種であれば5人以上の従業員を雇用している場合は、健康保険・厚生年金に加入しなければなりません。
また適用外業種の場合でも、従業員数が5人以上、かつ従業員の2分の1以上の同意があれば、任意で加入することができます。
適用外業種とは、サービス業の一部(クリーニング業、飲食店、ビル清掃業等)や農業、漁業等を指します。
・加入条件・・・適用業種16種は従業員5名以上、それ以外は任意
・保険料負担・・・労使折半(従業員と事業主が半分ずつ)
・保険料率・・・健康保険→従業員4.955%、事業主4.955%(介護保険該当→従業員5.78%、事業主5.78%) 厚生年金→従業員9.091%、事業主→9.091%(平成29年4月現在、東京都の場合)
・加入先・・・年金事務所
従業員の社会保険料の負担はかなりの金額になりますので、その要件などをしっかり確認して、資金繰りなどに備える必要があるでしょう。
記事を読まれた方又は第三者が当該業務日誌に記載されている情報などに基づいて被ったとされるいかなる損害についても、当法人およびその情報提供者は損害賠償その他一切の責任を負担致しません。
記事の内容についてのご質問はお問い合わせのページよりお願いいたします。
ご質問の内容によっては有料でのご対応、もしくはご返答いたしかねる場合がございますので、あらかじめご了承ください。