国内法人は国内で生じた収入のほかに、外国で生じた収入についても課税されることとなっています。
外国で生じた収入の場合、その国の法令に基づき、所得に対して源泉徴収されるケースも多くあります。
この国内と外国の2重課税の状態を調整する方法として、次の2つの方法を選択することが出来ます。
(1)損金算入方式
① 所得を計算するときに調整しない(結果として損金算入)
② 税額を計算するときに調整しない(税額控除しない)
課税対象となる国外所得は外国税額を差し引いた手取り額となり、外国税額は法人税額等からは控除されません。
支払った外国税額は、全額、経費にすることが出来ます。
(2)税額控除方式
① 所得を計算するときに加算する(損金不算入)
② 税額を計算するときに控除する(税額控除)
課税対象となる国外所得は外国税額を差し引く前の金額となり、外国税額は法人税額等から控除されます。
必ずしも、支払った外国税額の全額が控除できる訳ではなく、計算された控除限度額までの控除となります。
一般的には、利益が出ている法人は「税額控除方式」の方が有利になるようです。
この「損金算入方式」と「税額控除方式」は事業年度ごとに選択することが出来ます。
ただし、1事業年度で、両方を併用することはできません。
例えば、外国税額の1部について税額控除方式を選択した場合には、他のすべての外国税額について損金不算入とすることになります。
「税額控除方式」を選択した場合に、控除しきれない外国税額(控除限度超過額)や、使用しなかった控除限度額(控除余裕額)がある場合には、3年間の繰越しが可能です。
ただし、1度「損金算入方式」を選択した場合には、それまで繰り越してきた控除限度超過額及び控除余裕額は切り捨てられ、以降、引き継ぐことはできなくなります。
十分な外国税額控除枠がある場合は、「税額控除方式」を継続した方が良いでしょう。
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