小口でもなれる!競走馬の「一口馬主」

競走馬の馬主(うまぬし)といえば、昔からお金持ちのステータスですが、数十万円からの小口の出資で間接保有ができる「一口馬主」という制度があります。

この制度は「愛馬会法人」「クラブ法人」という2つの法人と「匿名組合契約」を用いて組成されています。

一口馬主→愛馬会法人

一口馬主が愛馬会法人に出資(匿名組合契約)。

その出資を基に愛馬会法人が競走馬取得。

愛馬会法人→クラブ法人

愛馬会法人の競走馬をクラブ法人に現物出資(匿名組合契約)。

クラブ法人が法律上の馬主資格を有する。

クラブ法人は競走馬をレースに出走させ、獲得した賞金を「JRA→クラブ法人→愛馬会法人→一口馬主」と順次分配していきますが、各段階で源泉徴収が行われます。

JRA→クラブ(匿組) (賞金-50万円)×10.21%を源泉徴収

クラブ(匿組)→愛馬会(匿組) 匿名組合契約等に基づく利益分配金×20.42%の源泉

愛馬会(匿組)→一口馬主 匿名組合契約等に基づく利益分配金×20.42%の源泉

なんでこのような形態になったのか

この制度は、匿名組合というパススルー事業体を用いた投資スキームとはなっていますが、もともと節税目的で作った仕組みという訳ではなさそうです。

1971年、競馬法改正により名義貸し禁止が明文化され、共同馬クラブが解散の危機に陥りました。

そのクラブの一つが存続のため、商法の匿名組合を使った運営手法を考案し、他のクラブもそれに続いたということのようです(このような経緯からか、十数年前までは業界独特の源泉徴収が行われていたようです)。

20万円超の場合には「雑所得」で確定申告

「一口馬主」が受取る匿名組合の利益分配金は所得税法上、「雑所得」に該当します。

この場合、給与所得者は、他の給与・退職所得以外の所得が20万円を超えるときには、確定申告が必要となります。

収入金額(分配額のうち利益部分)から会費など必要経費を控除した金額が雑所得の金額となります。

源泉徴収額は、愛馬会から送られてきた「匿名組合契約等の利益の分配の支払調書」を確認して下さい。

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