「暦年贈与サポートサービス」の照会事例
国税庁のホームページには、「事前照会に対する文書回答事例」が公表されていますが、平成28年3月に気になる照会事例が掲載されました。
ある金融機関が照会した「暦年贈与サポートサービスを利用した場合の相続税法第24条の該当性について」というものです(東京国税局回答)。
この「暦年贈与サポートサービス」とは、その金融機関の預金口座を有する3親等以内の親族関係にある複数の個人を対象として、その個人間の「贈与の意思及び贈与金額の確認」を行い、「双方合意が存する場合」に限り、「贈与契約書の作成」や「預金の振替」等をサポートするサービスなのだそうです。
このサービスに基づく贈与は、相続税法の「定期金給付契約に関する権利」に該当するのかというのが照会の内容でした。
「定期金給付契約に関する権利」とは
「定期金給付契約に関する権利」とは聞き慣れない言葉ですが、いわゆる「年金受給権」を指します。
たとえば、AがBに対して5年間現金100万円ずつ贈与する場合、これを「その1年ごとに個別に100万円ずつ贈与する」と見ることができれば、各年で110万円の基礎控除が適用できますので、贈与税は課税されません。
ただ、当初より5年間(毎年)現金100万円ずつを贈与するつもりであるならば、これは5年分の「定期金(年金)を受給する権利」を取得したと認定され、一時に贈与税が課税される恐れがあります。この場合に、贈与を受けたものとみなされる金額は、次の①~③のいずれか多い金額とされています。
(有期定期金の場合)
① 解約返戻金の額
② ①に代えて一時金を受けることができる場合…一時金
③ 1年間で受けるべき金額×残存期間に応じる予定利率の複利年金現価率
「直ち」には定期金給付契約と認定せず
そのため、現金の「連年贈与」を行う場合と同様に、このサービスが「定期金給付契約に関する権利」に当たる余地があるか心配だということです。
東京国税局の回答は、このサービスを用いた場合には、贈与の都度の確認があるため、「直ちに」は定期金給付契約とは認定しないとのことのようです(契約の内容や個別の状況などで判断する余地はあるのでしょう)。
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