家裁から後見人(保佐人、補助人を含む)に選任されると、後見人は、毎年、家裁に被後見人(被保佐人、被補助人含む)の財産目録を作成し、かつ、後見等(監督)事務報告書を提出することが義務付けられます。
事務報告書には、同意した事項(不動産賃貸借契約、保険金の受取等)や代理した事項(不動産の売買契約、施設への入所契約等)があればその旨も記載します。
後見人等の報酬
後見人の報酬については、原則、家裁への申し立てが必要で、それには、報酬付与申立事情説明書に必要事項を記載し、さらに、付加報酬を求める場合には、申立書に後見人の同意・代理行為で被後見人が得た利益額(不動産の売買等)等を記載し、その資料を添付しなければなりません。
報酬の額は、家裁が後見事務の内容及び被後見人の財産額などを勘案し、裁量により決定(報酬付与の審判を下す)します。
被後見人の生存中は、以上の事務手続の繰り返しです。
被後見人等が死亡した場合
被後見人が死亡すると、その時点で後見人等の権限及び義務は消滅し、後見事務の一切は終了することになりますが、原則、死亡後2か月以内に上記事務手続を実施し、その旨を家裁に報告しなければなりません。
また、相続人に対しても財産の引継ぎをしなければなりません。
そして、後見人のこの最後の事務報酬についても報酬付与の申し立てをすることになっています。
後見人の最後の事務報酬と債務控除
ところで、後見人のこの最後の事務報酬が、被後見人(被相続人)の相続税の課税価格から被後見人の債務として控除できるかどうか、気になるところです。
債務控除の要件は、
①被相続人の債務で相続開始の際現に存するもの
②確実と認められるもの
です。
この要件を後見人の最後の事務報酬にあてはめてみますと、
①被後見人の死亡時には、後見人に法律で定められた事務が既に発生していること
②当該事務について、報酬付与の申し立てがなされる限り、遅滞なく、家裁はその事務内容、被後見人の財産の状況を勘案して報酬額を決定する。
以上のことから、要件は満たされていると思われますので、後見人の最後の事務報酬は、債務控除できるものと考えます(後見監督人も同様)。
 

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