年末調整のチェックポイント
12月も半ばになり、年末調整の時期を迎えました。
平成27年分の改正点、質問の多い事項などを確認していきたいと思います。
(1)平成27年の改正点
平成25年度の税制改正で、所得税の最高税率が引上げられています。
従来、所得税の最高税率は、課税所得金額1,800万円超である場合の40%でした。
その最高税率が、課税所得金額4,000万円超の金額については、45%に引上げられました。
改正後
課税所得金額
1,800万円超4,000万円以下 40% 控除額2,796,000円
4,000万円超        45% 控除額4,796,000円
改正後の最高税率45%は、平成27年分の所得税から適用されます。
ただし、給与収入2,000万円を超える人は、年末調整の対象とはなりませんので、年末調整の処理には影響ありません。
(2)年末調整の対象となる中途退職者
年の途中で退職した人は、原則的には年末調整は行いません。
しかし、次のケースに該当する場合には、退職後、他の給与を受けることはないと考えられますので、退職時において「扶養控除等申告書」の提出していれば、年末調整を受けることができます。
① 死亡により退職した人
② 著しい心身の障害のために退職した人(退職した後に再就職をし、給与を受け取る見込みのある人は除く)
③ 12月に支給されるべき給与等の支払を受けた後に退職した人
④ パートタイマーとして働いている人などが退職した場合で、本年中に支払を受ける給与の総額が103万円以下である人(退職後その年に他の勤務先から給与の支払を受ける見込みのある人は除く)
(3)国民年金保険料・国民健康保険料
毎月の給与から差し引かれている健康保険、厚生年金保険、雇用保険などの保険料は、その金額が明らかであり、会社に申告をしなくても、当然、控除対象となります。
一方、国民健康保険や国民年金の保険料など、直接支払っているものがある場合も、控除対象になります。
ただし、「保険料控除申告書」に金額を記載しないと控除を受けることはできません。
さらに、国民年金保険料や国民年金基金掛金などは、支払証明書の添付又は提示が必要となります。
国民健康保険料は、証明書などは必要ありませんが、その年中に支払ったものだけが控除対象となりますので、通知書や納付書などで、納付額をきちんと把握しておきましょう。
支払った金額がわからなくなった場合には、市区町村の窓口で確認することができます。
(4)控除証明書・支払証明書がない場合
生命保険や地震保険、国民年金保険料などは、保険料控除申告書に控除証明書の添付が必要となりますが、もし紛失してしまった場合などには、再発行してもらう必要があります。
年末調整の時に間に合わない場合には、翌年1月末日までに提出することを条件として、控除を適用して年末調整を行っても良いことになっています。
ただし、翌年1月末日までに提出がない場合には、年末調整をやり直さなければなりませんので、不確実な場合には、控除せずに、各自で確定申告をする方が良いでしょう。
(5)16歳未満の扶養親族の申告
16歳未満の扶養親族(年少扶養親族)については、所得税・住民税ともに扶養控除の対象外となっていますが、扶養控除等申告書には「住民税に関する事項」として記載が必要となります。
所得税については年少扶養親族の申告は必要ないのですが、個人住民税においては非課税限度額制度が設けられており、この非課税限度額の判定基準の算定に年少扶養親族を含めた「扶養親族の数」が使用されているため、控除対象とならない年少扶養親族についても、忘れずに記載するようにしましょう。

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