住宅の全部又は一部を活用して宿泊サービスを提供する「民泊サービス」を行うためには、旅館業法の許可を得る必要があります。

この旅館業法の許可について、平成28年4月から規制緩和が行われました。

簡易宿所営業の許可要件である客室延床面積(33㎡以上)の基準を改正し、一度に宿泊させる宿泊者数が10人未満の施設の場合には、宿泊者1人当たり面積3.3㎡に宿泊者数を乗じた面積以上で許可を受けられることとしました。

また、一度に宿泊させる宿泊者数が10人未満の小規模な施設により簡易宿所営業の許可を取得する場合は、玄関帳場等(フロント)の設置を要しない旨の通知改正が行われました。

これらの改正により、従来よりも旅館業の営業許可を、容易に取得することが出来るようになりました。

ただし、フロントの設置については、自治体の条例で設置義務が定められている場合がありますので、各自治体にご確認ください。

① 所得税の取扱い

所得税法上、民泊サービスの収入は、不動産所得、事業所得、雑所得に該当すると考えられます。

給与所得がある個人が民泊サービスを行った場合、その所得金額が20万円を超えた場合には、「雑所得」として確定申告をする必要があります。

雑所得の場合は、赤字が出ても損益通算できないほか、青色申告制度を適用することはできません。

事業的規模で不動産賃貸を行っている個人が、所有している賃貸用の不動産を民泊サービスを行って得た収入については、「不動産所得」に該当するでしょう。

民泊サービスの際に食事を提供する場合は、「事業所得」に該当すると考えられます。

不動産所得、事業所得に該当した場合には、赤字は他の所得と損益通算することができますし、青色申告制度も適用することができます。

② 消費税の取扱い

「住宅の貸付け」は非課税となりますが、民泊サービスによって得られる宿泊料は、「住宅の貸付け」には該当せず、課税売上に該当すると考えられます。

非課税となる住宅の貸付けからは、貸付期間が1か月未満の場合及び「旅館業法第2条第1項に規定する旅館業に係る施設の貸付けに該当する場合」が除外されています。

一般的な有償の民泊サービスは、旅館業法第2条第1項に規定する簡易宿所であるとされていますので、消費税課税事業者の場合には、消費税の税額計算に含める必要があります。

簡易課税制度を適用している場合、民泊サービスの収入は第5種事業で消費税の計算を行います。

ただし、宿泊者に食事の提供をする場合、その方法により取扱いが異なります。

夕食代と宿泊代を明確に区分できる場合、夕食代は第4種事業として、宿泊代は第5種事業として、区分して消費税の計算を行うことができます。

一方、「一泊二食付で2万円」のように食事代込みで宿泊料を定めている場合、その宿泊料の全額が第5種事業の対象となります。

民泊サービスは、東京五輪を控え、外国人観光客のニーズも今後、ますます広がっていくと考えられています。

民泊サービスの収入は、申告・納税が必要であることを、しっかり認識しておきましょう。

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