話題に上るようになった「資本性借入金」
最近、「資本性借入金」に関する話題が増えてきました。
この借入金は銀行が融資先の財務状況を判断する際に、負債ではなく、資本とみなすことができます。
H16に金融庁の「金融検査マニュアル」に盛り込まれたものですが、H23.11「資本性借入金の積極活用について」で、その「資本性」の要件を明確化したことにより活用が増えてきました。
「資本性借入金」の「資本性」の要件
「資本性借入金」の「資本性」とは「長期間償還不要な状態」「配当可能利益に応じた金利設定」「法定破綻時の劣後性」により、その借入金が資本に準じた体裁を備えていることをいいます。具体的には、
①償還条件
償還期間が5年超の期限一括償還
②金利設定
原則として業績連動型(赤字の場合、事務コスト相当)
③劣後性
原則として無担保・無保証(担保解除が困難な場合には特例あり)。
とされています。
政策金融公庫の「資本性ローン」がその一例となります。
ただし、この「資本とみなす」というのは、金融検査上のルールであって、私法・会計では、「債務」・「借入金」であることには変わりません。
中小企業金融円滑化法の終了後は、リスケ応諾率も下がり、経営計画の達成度も厳しいチェックが行われるものと思われます。
リスケの適用を受けた企業は「実現性の高い抜本的な経営再建計画」(実抜計画)では5年後には債務者区分を「正常先」(債務超過解消と黒字化)となることが求められています。
この場合、既存の借入金を「資本性借入金」に組替えるプランを採りいれれば、債務超過が解消しやすくなり、計画の実現性が高まります(返済は5年以後の一括であり、資金繰りにも貢献します)。
ただし、「実抜計画」に準ずる「合理的かつ実現性の高い経営改善計画」(合実計画)では、概ね計画どおりに進捗し、10年内の償還が求められることから、計画・実績とも黒字を出し続けるという前提となります。
債務超過であっても利益は出し続ける―ハードルは高いですが、そのようなリスケ企業であれば活用したいスキームです。
記事を読まれた方又は第三者が当該業務日誌に記載されている情報などに基づいて被ったとされるいかなる損害についても、当法人およびその情報提供者は損害賠償その他一切の責任を負担致しません。
記事の内容についてのご質問はお問い合わせのページよりお願いいたします。
ご質問の内容によっては有料でのご対応、もしくはご返答いたしかねる場合がございますので、あらかじめご了承ください。