子ども手当等の支給と差押さえ禁止措置
子ども手当支給法、高校授業料無償化法が成立しました。
子ども手当と就学支援金については非課税所得とされ、譲渡・差押も禁止です。
非課税の趣旨は、公共の資金を交付しておいて他方で所得課税で税金として回収するのでは交付の意味が薄れるということにあります。
差押さえ禁止も、
「滞納税金の回収に充ててしまうようなことのないように」
との趣旨です。
同じような差押さえ禁止債権としては、児童手当や年金や生活保護費などがあります。
振り込まれた後の預金への差押さえ
ところで、差押さえ禁止債権の児童手当13万円が銀行口座に振り込まれた9分後に県税事務所がこれを差押さえ、全部没収してしまったという鳥取県の事件が平成21年6月にありました。
また、千歳市では年金への差押さえ事件が起きています。
確かに、最高裁平成10年2月10日判決で、
「差押禁止債権が受給者の預金口座に振り込まれて、預金債権となると差押禁止債権としての属性は消滅してしまうので、従って預金に対する差押えは認められることになる」
としています。
国会でも取り上げられている
鳥取県の事件は訴訟になっており、当時の財務大臣の与謝野氏も、
「児童手当はちゃんと児童の養育のために使うものであるから、差し押さえてはならない、児童の養育のために使えるようにしてやるのが本来の筋だ」
と、国会で答弁しておりました。
今年の国会でも、菅財務大臣が、
「現金で受け取ればそれは差し押さえの対象にならなかったんでしょうけれども、実質上、ほとんど残高のない口座に振り込まれたものまで、まさにねらい撃ち的に差し押さえるというのは法の趣旨に反する」
と答弁しておりました。
最近の判決の新方向
確かに最近は違う判決もでるようになっています。
「入金するものは年金だけというような預金口座を差し押さえることは年金債権を差し押さえていることと実質的に同じであるから、年金債権への差押禁止効果は預金口座にも及ぶ」
としているものもあります。
平成20年1月の神戸地裁の判決です。

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