偽り不正の行為とは
偽り不正とは、脱税の意思を持って偽計その他の工作をして、税の賦課徴収を不能もしくは著しく困難ならしめる過少申告や無申告をする行為で、国税反則取締法に問われると刑事罰として5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金に処せられます。
昭和56年改正と附帯決議
偽り不正の場合の条項は国税通則法の立法時から存在しているのですが、昭和56年の改正で偽り不正の場合の更正処分の期間制限や国税債務の時効の期間が5年から7年に延びました。
昭和56年に改正したのは、ロッキード事件を契機として、その裁判中のことで、ロッキード事件のような大事件をめぐる世論への配慮があったからでした。
ただし、衆参両議院大蔵委員会では「更正、決定等の制限期間における調査に当たっては、高額かつ悪質な脱税者に重点を置き、中小企業者を苦しめることのないよう特段の配慮をする」旨の附帯決議をしています。
3年、5年、7年
税務調査で修正申告や更正処分がされる通常の遡及期間は所得税で3年以内、法人税で5年以内です。たとえ仮装隠蔽行為があり、重加算税が課せられる場合でもです。
所得税で5年に及ぶのは、偽り不正が問われた場合に限られ、さらに、所得税・法人税とも7年に及ぶのはその偽り不正の行為が特に「高額かつ悪質な脱税者」と言える時だけです。
5年の時効の壁
5年と7年との間には、そのほかもう一つ時効という壁もあります。
納税債務は5年で時効となります。法律で、時効の利益は放棄できないと定められていますので、時効を無視した修正申告はそもそも無効です。修正申告ならいつでも7年間遡及提出ができるというわけではないのです。
立法の経過と趣旨を忘れまい
ロッキード事件から30年以上も経ってしまうと、その事件の衝撃が生み出した重いペナルテイーが、平時の事案に安易に拡張適用される傾向にあります。附帯決議に現れている立法趣旨を心して忘れないようにしたいものです。
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