仮装隠蔽と偽り不正
「仮装隠蔽」と「偽り不正」との二つの言葉があります。
税法上いずれも不適法な行為の類型なのですが、この二つは明確に使い分けられています。
仮装隠蔽へのペナルティー
仮装隠蔽行為は重加算税が課せられる原因となります。
また、仮装隠蔽により支給された役員給与は損金不算入です。
仮装隠蔽行為のために要した費用は損金不算入です。仮装隠蔽行為があるときには青色申告承認や連結納税承認が取消しとなる場合があります。
偽り不正へのペナルティー
偽り不正の行為については5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金という罰則があります。
また、期限前納税が強制されたり、1年超の期間の延滞税の免除規定が不適用となったり、更正処分の期間制限や国税債務の時効の期間が7年に延びてしまう、という重い負担が強いられます。
仮装隠蔽と偽り不正の範囲の相違
仮装隠蔽とは、
(1)二重帳簿の作成
(2)帳簿・書類・証憑の隠匿、虚偽記載、改竄
(3)架空名義などでの事業の経営や取引・所有・取得、(4)税務調査での虚偽答弁、などであるとされています。
偽り不正とは、脱税の意思を持って偽計その他の工作をして、税の賦課徴収を不能もしくは著しく困難ならしめる過少申告や無申告をすることとされています。
偽り不正は仮装隠蔽を含むが
偽り不正とされ、7年間の遡及課税をされたアメリカ大使館職員給与の過少申告の事件では例外的に重加算とされませんでしたが、偽り不正事件のほとんどは重加算税の対象になっています。
逆に、仮装隠蔽には刑事罰規定はありませんし、仮装隠蔽ゆえに重加算税が課されても、時効5年や個人3年、法人5年の更正除斥期間に変更はありません。延滞税の1年超期間の免除も維持されます。
語感からくる仮装隠蔽と偽り不正の違法性の軽重度合いは似ているかもしれませんが、ペナルティーの重さには大きな相違があります。

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