最低賃金は毎年10月頃に見直されています。

ここ10年ほどは毎年引き上げられていますので、最低賃金で雇っている、あるいは働いている方はしっかりチェックする必要があります。

使用者が労働者に対して最低賃金額未満の賃金を支払った場合には、最低賃金額との差額を支払わなければなりません。

仮に最低賃金額より低い賃金額を労働者と使用者の合意の上で定めても、最低賃金法によって無効とされ、最低賃金額と同様の定めをしたものとみなされます。

また、地域別最低賃金額以上の賃金額を支払わない場合には、罰金(50万円以下)が定められています。

① 派遣労働者の場合

派遣労働者には、派遣元の会社等の所在地にかかわらず、派遣先の最低賃金が適用されます。

派遣会社の使用者と派遣される労働者は、派遣先の事業所等に適用される最低賃金を把握しておく必要があります。

例えば、埼玉県に所在する派遣会社から、東京都に所在する事業所等に派遣された場合には、埼玉県の最低賃金845円ではなく、東京都の最低賃金932円が適用されることになります。

② 完全歩合給の場合

タクシー運転手などの場合、完全歩合給で働いている労働者も多いと思います。

ただし、労働基準法には、「出来高払制その他の請負制で使用する労働者については、使用者は、労働時間に応じ一定額の賃金の保障をしなければならない」という規定がありますので、売上を上げたかどうかに関わらず、働いた人に対しては賃金を支払わなければなりません。

完全歩合給という契約であっても、労働時間に応じた最低賃金以上の保障額を支払う義務があります。

社員ではなく、個人事業主として契約している場合は、完全歩合による契約は認められます。

③ 最低賃金の減額の特例許可申請

一定の条件で許可申請をした場合、最低賃金の減額が認められます。

一般の労働者より著しく労働能力が低いなどの場合に、最低賃金を一律に適用するとかえって雇用機会を狭めるおそれなどがあるため、特定の労働者については、使用者が都道府県労働局長の許可を受けることを条件として個別に最低賃金の減額の特例が認められています。

1.精神または身体の障害により著しく労働能力の低い方

2.使用期間中の方

3.基礎的な技能等を内容とする認定職業訓練を受けている方のうち厚生労働省令で定める方

4.軽易な業務に従事する方

5.断続的労働に従事する方

減額の特例許可を受けたい場合、使用者は「最低賃金の減額の特例許可申請書」を作成し、所轄の労働基準監督署長を経由して都道府県労働局長に提出する必要があります。

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